GP民泊投資はなぜ節税につながるのか
GP民泊投資とは、株式会社GPが物件オーナーから物件を借り上げて宿泊施設として運営する事業に、投資家がパートナーとして参加する仕組みです。土地や建物を購入する一般的な不動産投資と異なり、宿泊需要に応じた高い収益性や、運営に関与しながら投資できる体験型の性格が特徴とされています。
こうした特徴に加えてもう一つ挙げられるのが「節税効果への期待」です。ただし、「投資をすれば自動的に税金が安くなる」という単純な話ではありません。
GP民泊投資では、事業を始める際に発生する初期費用について、税法上の条件を満たせば、必要経費や損金として計上できる可能性があります。その結果、課税対象となる所得や利益が圧縮され、一時的な税負担の軽減につながるという仕組みです。
今回は、GP民泊投資がなぜ節税につながるのか、個人と法人ではどのような違いがあるのかを、税務の観点から解説します。
GP民泊投資の仕組みをおさらい
GP民泊投資では、株式会社GPが物件オーナーから物件を借り上げ、宿泊施設として開発・運営します。投資家は土地や建物を購入するのではなく、宿泊事業のパートナーとして参加する仕組みです。
契約時には主に「転貸借契約」と「業務管理委託契約」などを締結し、GPが物件選定から開業準備、集客、運営管理までを担います。
事業開始時には、「事業開業費」※「施設環境整備費」「広告費」「紹介手数料」などの初期費用が発生します。GPでは、会計処理の想定として、事業開業費や紹介手数料を「支払手数料」、施設環境整備費を「業務委託費」や「外注費」、広告費を「広告宣伝費」などとして処理することを案内しています。
一般的な不動産投資では、建物や設備を購入すると資産として計上し、耐用耐用年数に応じて数年から数十年かけて減価償却していきます。一方、GP民泊投資では、投資家自身が物件や設備を直接所有するのではなく、開業準備や施設整備などのサービスに対して費用を支払う形式をとります。
そのためGPでは、これらの初期費用について、一定の条件のもとで開業した年度の必要経費または損金として計上できるものと考えています。
ただし、施設環境整備費など内容によっては、資産の価値を高めたり耐用年数を延長させたりする「資本的支出」に該当すると税務上判断され、即時の損金算入が認められない可能性もあります。この点は個別の取引内容に応じた検討が必要です。
初期費用を必要経費や損金として計上できれば、その分だけ所得や利益が圧縮され、課税所得が下がります。
これが、GP民泊投資が節税商品として活用できると考えている基本的な仕組みです。
なお、契約した宿泊施設が開業しなかった場合には、GPが初期費用を返金する旨を契約上定めています。開業という役務の提供が完了した時点で費用が確定するという考え方です。
※「事業開業費」は、GPが請求する費用項目の名称であり、支払手数料として処理することを想定しています。会社法・税法上の繰延資産である「開業費」(本来は5年以内で任意償却する資産)とは異なる概念である点にご留意ください。
個人の場合は「事業所得」になるかがポイント
個人がGP民泊投資を行う場合、税負担の軽減につながるかどうかは所得の区分で決まります。
所得税法上、所得は給料などの「給与所得」、事業による「事業所得」、不動産の貸し付けによる「不動産所得」、どれにも属さない「雑所得」など10種類に分類されます。
会社員が会社から受け取る給与は給与所得、個人が事業として得た所得は事業所得です。
GP民泊投資による所得について、GPでは、事業としての実態が認められる場合には「事業所得」に該当すると考えています。
ただし、事業の規模や実態によっては「雑所得」と判断される可能性があります。この違いは、節税効果を考えるうえで非常に重要です。
事業所得なら給与所得との「損益通算」が可能
個人の場合、大きなポイントとなるのが「損益通算」です。損益通算とは、一定の事業等で発生した赤字を、ほかの所得の黒字と相殺する仕組みです。
例えば、給与所得が1,000万円ある会社員が、新たに始めた事業で250万円の赤字を出したとします。
その赤字が損益通算の対象となる事業所得であれば、
1,000万円-250万円=750万円
という形で、所得を圧縮できる可能性があります。
GP民泊投資でも、初年度は初期費用が大きく発生するため、事業所得として赤字になるケースがあります。その赤字を給与所得などと損益通算できれば、課税所得が下がり、所得税や住民税の負担軽減につながります。
GP民泊投資による所得が雑所得と判断された場合、その赤字を給与所得などと損益通算することはできません。
つまり、個人がGP民泊投資を節税商品として活用する場合、事業所得として認められるかどうかが重要な分かれ目になります。
課税所得700万円なら、どのくらい税負担が変わる?
具体例を見てみましょう。
課税所得700万円の方が、GP民泊投資で250万円の初期費用を支払い、その全額を必要経費として計上できたケースを想定します。
GPの試算では、GP民泊投資を行わなかった場合、所得税と住民税の年間負担は約167.4万円です。
一方、250万円を必要経費として計上し、課税所得が700万円から450万円に下がると、所得税と住民税は約92.3万円となります。差額は約75万円です。
つまり、このケースでは、250万円を必要経費として計上することによって、約75万円の税負担軽減につながるという試算です。
所得税には累進税率が採用されており、所得が高くなるほど税率も高くなります。そのため、同じ金額を経費として計上した場合でも、所得が高い人ほど税負担の軽減額が大きくなる傾向があります。
ただし、実際の税額は所得の種類や所得控除、ほかの収入などによって異なります。
「帳簿をつければ事業所得」ではない
注意したいのが、事業所得と雑所得の区分です。
事業所得として認められるかどうかは、単純に「帳簿をつけているから事業所得になる」というものではありません。
国税庁の通達では、取引を帳簿に記帳・保存していれば原則として事業所得に区分される一方、記帳・保存がない場合は原則として雑所得とされます。また、記帳があっても、収入金額や事業の規模、営利性、継続性などから見て社会通念上「事業」と呼べる実態が伴っていなければ、事業所得と認められない可能性があります。
また、毎年赤字が続いているにもかかわらず、赤字を解消するための取り組みが見られない場合には、事業としての営利性が問われることもあります。
GP民泊投資では、節税だけを目的として赤字を出し続けるのではなく、開業後に宿泊事業として収益を上げていくことを前提としています。
節税後にきちんと利益を生み出せる事業になっているかどうかも重要です。
土地や株式の売却益とは相殺できない
もう一つ注意しておきたいのが、「総合課税」と「分離課税」の違いです。
GP民泊投資による事業所得は、基本的に総合課税の対象です。一方、土地や建物の譲渡所得、一部の金融所得などは申告分離課税の対象となります。
そのため、例えば土地を売却して多額の譲渡益が出たからといって、GP民泊投資で生じた赤字を使い、その譲渡益をそのまま圧縮できるわけではありません。
株式などの金融所得についても同様に、所得の種類によって取り扱いが異なります。
節税を検討する際には、「今年利益が出た」というだけでなく、「何の所得に対する税金を軽減したいのか」を確認する必要があります。
法人は決算対策として活用しやすい
法人の場合は、個人よりも考え方がシンプルです。
個人の所得税のように所得が10種類に区分されるわけではないため、GP民泊投資の初期費用が損金として認められれば、開業日が属する事業年度の費用として計上することができます。
その結果、その年度の法人所得を圧縮できる可能性があります。
GPでは、決算前に利益が大きく出ることが見込まれた法人が、決算対策の一つとしてGP民泊投資を活用するケースもあるといいます。
利益500万円の法人で試算すると?
例えば、決算前の法人で、税引前当期純利益が500万円になると予測されたとします。そのまま決算を迎えれば、500万円の利益に対して法人税などが課税されます。
一方、決算までにGP民泊投資で450万円の初期費用を支払い、その全額を損金として計上できた場合、
まで利益を圧縮できます。
仮に中小法人の軽減税率(所得800万円以下の部分・国税分)である税率を15%として単純計算すると、GP民泊投資を行わなかった場合は、
となります。
一方、450万円を損金として計上した場合は、
となります。
この試算では、税負担の差は67.5万円です。
もちろん、これはあくまで簡易的なシミュレーションです。実際の法人税負担は、法人の規模や所在地、所得金額、地方税などによって異なります。
また、法人住民税の均等割など、赤字や所得ゼロでも発生する税金があるため、納税額を完全にゼロにできるわけではありません。
節税だけで終わらせず「第2の事業」に
GPが重視しているのは、「節税できればそれで終わり」ではないという点です。
初期費用を使って税負担を軽減できたとしても、その後、宿泊事業で利益を上げられなければ、投資として成功したとはいえません。
GP民泊投資では、初期費用による節税効果だけでなく、開業後に継続的な収益を生み出すことを前提としています。
実際、GPの顧客のなかには、当初は決算対策として民泊投資を始め、その後、本業に次ぐ新たな収益事業として宿泊事業を検討するようになった経営者もいるといいます。
例えば、システムエンジニアの人材派遣業を営む経営者が、将来的な本業の収益減少を見据え、GP民泊投資を新たな事業の柱として活用しようとしているケースもあります。
本業とは異なる収益源を持つという意味でも、宿泊事業への参入は一つの選択肢になります。
中小企業経営強化税制を使う商品ではない
法人がGP民泊投資を検討する際に注意したいのが、税制上の位置づけです。GP民泊投資は、「中小企業経営強化税制」を利用して即時償却を行う商品ではありません。
GPが初期費用を損金または必要経費として処理できると考えているのは、設備投資に対する特別な優遇税制を利用するからではなく、通常の法人税法や所得税法に基づく費用処理の考え方によるものです。
設備を取得して特別償却や税額控除を受ける仕組みとは異なるため、混同しないよう注意が必要です。
消費税にも影響する可能性がある
GP民泊投資に関わる事業開業費、施設環境整備費、広告費、紹介手数料について、GPではいずれも消費税法上の課税取引として扱っています。
そのため、課税事業者で本則課税を採用している法人や個人事業主の場合には、仕入税額控除との関係で消費税負担にも影響する可能性があります。
一方で、簡易課税を選択しているか、免税事業者か、インボイス登録をしているかなどによって取り扱いは変わります。
所得税や法人税だけでなく、消費税についても個別に確認する必要があります。
節税効果は「誰でも同じ」ではない
GP民泊投資は、初期費用を必要経費や損金として計上することで、所得税や法人税の負担軽減につながる可能性があります。
個人の場合は、特に事業所得として認められ、給与所得などと損益通算できるかどうかが重要です。
一方、法人の場合は、その事業年度に発生する利益とGP民泊投資の初期費用を組み合わせることで、決算対策として活用できる可能性があります。
ただし、税務上の取り扱いは、納税者ごとの所得状況や事業実態によって異なります。
同じGP民泊投資を契約したとしても、会社員、個人事業主、法人経営者では税務上の効果が異なりますし、個人でも所得額や事業規模によって判断は変わります。
「一般的にこう処理できるから、自分も必ず同じようにできる」とは限りません。
GP民泊投資を節税目的で検討する場合には、契約前に自身の所得状況や法人の決算状況を確認し、個別にシミュレーションすることが重要です。GPでは個別相談を設けており、物件の収益性だけでなく、投資家の所得状況や法人の決算状況を踏まえた提案を行っています。
節税によって税負担を軽減すること。そして、その後の宿泊事業で収益を上げていくこと。
この両方を見ながら検討することが、GP民泊投資を活用するうえで重要なポイントといえるでしょう。
税理士 松尾 浩輔(松尾浩輔税理士事務所 代表)

税理士 松尾 浩輔(松尾浩輔税理士事務所 代表)
学歴
長崎県立大学経営学部卒
長崎県立大学経済学研究産業経済・経済開発修士課程修了
経歴
税理士法人内田会計事務所(旧:税理士法人アップパートナーズ)
中小企業や個人事業主を中心に、税務顧問、決算申告、資金調達支援、財務分析、事業承継対策など幅広い分野で相談を受けており、単なる税務処理にとどまらない総合的なサポートを行っている。
