(※写真はイメージです/PIXTA)
夫の行動による夫婦関係の変化
現役時代の隆さんは、平日は仕事に追われ、週末も無趣味のまま自宅でのんびり過ごすのが常でした。外出する機会といえば、子どもたちが小さかったころの用事や、尚子さんの買い物に付き添う程度。近所付き合いも、すれ違ったときに軽く会釈を交わすくらいに限られていました。
隆さんから相談を受けたFPは、キャッシュ・フローを考えて、将来、安心できるプランニングを行いました。そのなかには、お金だけではなく、夢や希望の実現に向けた計画も含まれます。今回の相談のように、老後資金に不安がないという人であっても、老後の生きがいについても考えておく必要があります。
アドバイスを受けた隆さんは、昼間の空いた時間に、趣味を見つけるために、外出をするようにして、他人との交流を増やしていきました。また、尚子さんとの関係も、ただ家にいるだけではなく、尚子さんが出かけているあいだに、部屋の掃除をしたり、自分の分だけではなく、夫婦2人分の夜ご飯の準備などもしたりするように。
料理については、いまの時代はスマホやタブレットでレシピを検索して、簡単にできるかもしれません。しかし隆さんは、あえて尚子さんに調理方法などのアドバイスももらうようにして、会話を増やしていき、最近では少しずつ笑顔で話ができるようになっています。週末は、たまに夫婦でドライブに出かけ、今後は、年に1~2回は国内旅行も企画しているとのことです。
定年退職は、夫にとっては「長年の重責から解放される日」ですが、専業主婦やパート勤めを続けてきた妻にとっては「これまでの生活リズムが崩される日」にもなり得ます。お金の準備が万全であっても、双方が相手に依存しすぎたり、逆に突き放したりしてしまっては、穏やかな時間は訪れません。
便利な世の中になった現代だからこそ、自分の都合ではなく、相手への思いやりを行動で示すことが大切です。長年家族を支え合ってきた夫婦が、お互いに心地よい距離感を保ちながら穏やかな時間を過ごせるよう、元気なうちから「お金以外のセカンドライフ設計」にも目を向けてみてはいかがでしょうか。
〈参考〉
総務省統計局:家計調査年報(家計収支編)2025年(令和7年)
https://www.stat.go.jp/data/kakei/2025np/index.html
厚生労働省:令和7年人口動態統計月報年計(概数)の概況
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai25/index.html
吉野 裕一
FP事務所MoneySmith
代表