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親への援助で厳しくなる子世代の老後
「4万円でも、もうギリギリなんだ」
剛さんがそう伝えると、母は「こっちだって生活できない。1万円くらい何とかなるだろう」と返しました。その言葉を聞いた剛さんは、つい声を荒らげました。
「俺だって自分の老後があるんだよ。これ以上は無理だ」
電話を切ったあと、剛さんは妻に話しました。妻は責めることなく、「お母さんの生活も心配だけど、私たちも考えないとね」と答えました。
そこで剛さんは、実家に行き、母親と改めて話すことにしました。これからも月4万円は送る。ただし、追加の援助については、その都度相談する。急な医療費や修繕費などについては、母親の貯蓄も含めてどう対応するかを考える。
剛さんが自分の通帳を見せ、「このまま毎月支援を続けたら、俺たちの老後も苦しくなる」と説明すると、母親も黙って聞いていました。
総務省『家計調査 家計収支編(2025年)』によると、65歳以上の夫婦無職世帯における月平均の実収入は25万4,395円であり、その約9割を公的年金などの社会保障給付(22万8,614円)が占めています。一方で、日々の生活費である消費支出は月平均26万3,979円。可処分所得は22万1,544円で、毎月4万2,435円の不足が生じる計算です。
年金だけでは日常の支出をカバーしきれず、不足分を貯蓄の取り崩しなどで補う――日本の一般的な高齢夫婦世帯の実情です。
そのようななか、50代以降は、親の介護や生活支援と、自分自身の老後準備が重なる時期です。「親だから助ける」「子だから支える」といった気持ちだけで援助の金額を決めてしまうと、支援する側の生活まで不安定になる可能性があります。
大切なのは、親の収入と資産、子の家計、今後想定される医療や介護の費用まで含め、どこまでなら無理なく支えられるのかを家族で確認すること。それが無理のない老後生活の大前提といえるでしょう。