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誰も住まなくなった実家、管理と売却をどうするのか
発見されたときには、言語障害と麻痺が残っており、これまでと同じように一人で暮らすことは難しい状態でした。退院後は介護施設に入所することになり、実家には誰も住まなくなりました。
勇さんが施設に入った後、誠さんは実家の管理を始めました。
庭の手入れや家の換気、郵便物の確認など、これまで父が行っていたことを代わりにしなければなりません。東京から実家までは片道2時間ほど。休日に通うだけでは、十分な管理が難しい状況でした。
さらに、固定資産税や火災保険、庭木の剪定などの費用も発生します。
勇さんの年金は施設での生活費に充てられるため、実家の維持に必要な費用を誠さんが負担する場面も出てきました。
家を売却するという方法もあります。しかし、本人の判断能力が低下した後では、売却の手続きを家族が自由に進められるわけではありません。実家じまいを考えていたときに話し合いができていれば、選択肢は違っていた可能性があります。
空き家をめぐる制度も変わっています。2023年12月に改正された空家等対策特別措置法では、放置すれば「特定空家」になるおそれのある空き家を「管理不全空家」とし、市区町村が指導・勧告できる制度が設けられました。勧告を受けた場合、土地に適用されていた住宅用地特例が解除されます。
住宅用地については、200平方メートル以下の部分なら固定資産税の課税標準が6分の1、200平方メートルを超える部分は3分の1に軽減されています。この特例が解除されれば、税負担が増える可能性があります。
こうした制度を知った誠さんは、施設にいる父に改めて相談しました。
「このまま誰も住まない家を残すのは難しい。家をどうするか、墓も含めて一緒に決めたい」
勇さんも、以前のように「家を残す」と言い切ることはありませんでした。実家を残すのか、売却するのか、解体するのか。あるいは墓をどのように整理するのか。選択肢によって必要な手続きや費用は異なります。だからこそ、親が元気で意思を伝えられる段階で、家を誰が管理するのか、将来住まなくなった場合にどのように対応するのかを話し合っておくことが重要です。
「まだ元気だから」と先送りしている間に、病気や介護によって本人が判断や手続きを行うことが難しくなるケースもあります。実家じまいは、家を処分する話だけではありません。親が暮らしているうちに、家と墓を誰が引き継ぎ、将来どう管理するのかを家族で確認しておくことも、その一部といえます。