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高齢期の「広い持ち家」は、本当に資産なのか
問題は、使わない部屋も「家」である以上、維持しなければならないことです。掃除や換気、設備の確認など、暮らしていない空間にも手間はかかります。年齢を重ねれば、階段の上り下りそのものが負担になることもあります。
建て替えのときには「家族のため」と考えた広さが、家族の暮らし方が変わったことで、本人にとって維持するだけの空間になりつつありました。
「私たちの感覚だと、家は広いほうがいいというのがあるじゃない。でも最近は違うのね」
子どもが独立する前は、複数の個室が必要でした。家族が帰省すれば、泊まるための部屋も必要です。しかし、子どもが家庭を持ち、孫が成長すれば、その前提は変わります。
「家族の成長も考えたらよかったですね」
建て替えの際、1階については必要最低限のバリアフリーを実現しました。ただ2階については、客間のみという構成で、普段は使わないことがわかっていたので、バリアフリーである必要はないと考えました。そもそもすべてにバリアフリーを施すことは、予算的にも難しかったためです。結果、必要なくなった2階は、余計に使われることなく、洋子さんにとっては完全にお荷物になってしまったのです。
国土交通省「大規模な住宅団地に居住する住民に対する意識調査」(令和7年度)によると、世帯構造は「夫婦のみ」(39.3%)や「ひとり暮らし」(14.3%)といった少人数世帯が過半数を占めています。さらに地域が抱える課題として、三大都市圏の14.4%が「自宅の維持管理が難しい住民の増加」を挙げています。
居住人数に見合わない広い家は、加齢に伴い掃除や管理の大きな負担となりかねません。将来の家族構成や暮らし方の変化を見据えた適正な住宅規模の選択が求められています。
高齢期の住まいを考える際には、今現在だけでなく、「5年後、10年後のライフスタイル」まで見据えて決めたいもの。洋子さんのように、家族のために残した部屋が家族の成長とともに必要なくなり、負担でしかなくなる――誰にでも十分に起こり得ることです。