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孤独死の恐怖を乗り越える「ゆるやかな繋がり」の模索
現役時代の山田さんは、職場と自宅を往復するだけの生活を送っていました。たとえば休日に地域活動へ参加したり、趣味のサークルに加入したりすることはありませんでした。
当時は仕事が中心であり、退職後の人間関係まで配慮する考えに至らなかったといいます(そもそも経済的余裕がなく、家と会社を往復する余裕くらいしかなかったとも振り返ります)。そうこうしているうちに、会社という組織を離れた瞬間、社会との接点が消失してしまったのです。
厚生労働省の地域共生社会の推進に向けた関連資料によると、高齢期の社会的孤立は認知機能の低下やうつ病のリスクを高める要因として挙げられています。また、警察庁によると、2025年に自宅で死亡した単身者は7万6,941人。孤立死の約7割は死後1カ月以内に見つかる一方で、死後1年以上かかった人も208人いました。
このような状況下、行政や支援団体は、地域社会において孤立状態にある高齢者を早期に把握し、見守りネットワークやボランティア活動などの場へ接続する重要性を訴えています。
社会からの孤立感に耐えかねた山田さんは、最近になり自治体の福祉相談窓口へ足を運んだといいます。定期的な安否確認を行う見守りサービスの利用を開始し、地域で運営されている高齢者向けのサロンにも顔を出すようになりました。
「最初は他人に頼ることが恥ずかしいと思っていました。でも、まったく必要のないプライドでした。今は、少しでも挨拶を交わす人がいると思うだけで心が軽くなります」
老後、濃い人間関係を築く必要はありません。日常の中で顔を合わせ、短い挨拶を交わす程度の「ゆるやかな繋がり」が存在するだけで、孤立の恐怖は大きく和らぎます。
定年を迎える前の現役時代から、会社以外のコミュニティや地域社会と接点を持っておく――資金面での準備に加え、人との関わりを途絶えさせない工夫こそが、都市部の“無縁社会”を生きるためには不可欠です。