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断ち切れない依存と残念な現実
同居を始めて半年が過ぎたころ、致命的な事件が起きます。清さんの元に、身に覚えのないクレジットカードの請求書が届いたのです。金額は15万円を超えていました。清さんが問いただすと、健太さんは悪びれる様子もなく答えました。
「事業の残債の返済期日が迫っていたんだ。次に金が入ったら返す」
清さんはカードの管理を甘くしていたことを深く後悔しました。さらに不審に思った清さんが家の中を調べると、亡くなった妻の貴金属や、清さんが収集していた骨董品が押し入れから消えていることに気づきます。健太さんが勝手に売却し、現金を手にしていたのです。
「親の物を勝手に売るなんて、どういうことだ」
追及する清さんに対し、健太さんは開き直るような態度をとりました。
「俺だって追い詰められているんだ! 家族ならこれくらい助けてくれてもいいだろう」
この言葉を聞いた瞬間、清さんは息子との関係維持に限界を感じました。息子をかわいそうに思い、手を差し伸べ続けた結果がこれだったのです。甘やかしが息子の自立を妨げ、自分自身の生活まで脅かしている現実に気づかされました。
厚生労働省『高齢者虐待防止法に基づく対応状況等に関する調査』によると、養護者による高齢者虐待と認定された事例のうち、「経済的虐待」は毎年約12%〜16%を占めています。また、虐待者(加害者)の内訳では「息子」が約4割と最も高い割合を示しています。同居する大人の子どもが親の公的年金や預貯金を無断で消費したり、資産を勝手に処分したりする被害は後を絶たず、身内間のトラブルとして表面化しにくい深刻な構造問題となっています。
「この家から出ていけ! 金輪際、この家に近づくな!」
清さんはきっぱりと告げました。健太さんは「路頭に迷ったらどうするんだ」と激昂し、部屋の物を床に叩きつけました。しかし、清さんが一切ひるまず毅然とした態度を崩さないのを見ると、荷物を鞄に押し込み「二度と戻ってくるか!」と吐き捨てて家を飛び出していきました。
清さんはすぐに玄関の鍵を交換し、行政の相談窓口を訪れました。世帯分離の手続きを進めるとともに、息子の金銭トラブルには今後一切関与しない意思を固めたといいます。
子どもの失敗に対して無限の救済を提供することは、親の情かもしれません。しかし、境界線を引かずに支援を続ければ、親子共倒れの結末を迎えます。非情に見える決断こそが、互いの人生を守るために不可欠といえそうです。