※写真はイメージです/PIXTA
「長男だから」「次男だから」では決まらない、墓のこれから
墓の承継について、法律上「長男が必ず継がなければならない」と決まっているわけではありません。
厚生労働省の「墓地、埋葬等に関する法律」は、墓地や納骨堂、火葬場の管理などについて定めています。埋葬や改葬には市町村長の許可が必要です。一方で、誰が墓を承継するかについて、法律が一律に「長男」と定めているわけではありません。実際の承継や使用権については、墓地の管理者が定める規則なども確認する必要があります。
大輔さんの場合も、兄が遠方に住んでいるからといって、自動的に次男へ移るわけではありません。家族の話し合いが必要です。
また、墓を継ぐことになれば、寺院墓地なら檀家としての付き合いや費用が発生する場合があります。管理料の有無や金額、法要の対応なども、墓地によって異なります。
大輔さんは兄にも連絡しました。しかし、兄の答えは変わりませんでした。
「悪いけど、俺は無理だよ。遠いし、仕事もある」
「大輔なら、実家にも来られるでしょう。お父さんと同じところに入れてあげたいの」という母の言葉と、拒否する兄。大輔さんはすぐに「分かった」とは言えませんでした。
墓を守ることを引き受けるのか。それとも、母が元気なうちに別の方法を探すのか。選択肢は一つではありません。
墓じまいをして別の墓地や納骨堂に移す方法もあります。ただし、改葬には許可が必要です。厚生労働省によれば、焼骨を別の墳墓や納骨堂へ移す「改葬」も市町村長の許可を受けなければなりません。現在の墓地の管理者や自治体への確認も必要になります。
大輔さんにとって、それは単なる墓の管理を頼まれたという話ではありませんでした。
父と同じ墓に入りたいという母の希望をどうするのか。
遠方に住む兄とどう分担するのか。
そして、自分の子どもに同じ問題を残すのか。
大輔さんは、まだ答えを出すことができていません。
内閣府『令和6年度 高齢社会対策総合調査(高齢者の経済生活に関する調査)』によると、高齢者が今後の生活の中で「お墓の準備」をしている割合は20.4%にとどまりますが、老後の備えとして「終活関係の準備(葬儀やお墓の準備、財産等の整理・相続の準備)」を意識する人は38.1%に上ります。また、認知機能低下時の財産管理を「子や他の親族に委ねる」とした割合は36.4%(女性では46.9%)に達しています。
親が元気なうちに、希望する供養の形や管理・費用の負担について家族で話し合い、意向を共有しておくことがトラブルを防ぐ第一歩となります。