総務省の「家計調査報告(貯蓄・負債編 2025年平均結果)」によると、50代の二人以上世帯における平均貯蓄額は1,756万円、負債額は743万円となっています。会社員などが該当する「勤労者世帯」の50代に絞ると、平均貯蓄額1,376万円に対して負債額が1,384万円に上り、純貯蓄額はマイナス8万円と実質的な負債超過の状態です。実際に50代世帯の53.7%が住宅ローンなどの負債を抱えており、子どもの教育費ピークと重なることで、家計のやりくりは人生で最もシビアな局面を迎えます。こうした家計はどのように管理していくのが正解なのでしょうか。事例を見ていきます。※事例の人物名はすべて仮名です。
「お小遣い制をやめたい」…〈手取り月42万円〉〈結婚以来21年小遣い月3万円〉の57歳夫が切り出した“財布別制”。58歳・パート妻が返した正論 (※写真はイメージです/PIXTA)

収入に差のある夫婦の家計管理

50代後半は、人生の中で最も子どもの教育費が高額になりやすい時期です。さらに、持家の固定資産税や修繕費、自動車の車検・税金、家電の買い替え費用といった「特別費(不定期な支出)」が年間数十万円単位で発生します。

 

「毎月定額の生活費だけ渡す」という大雑把な管理に移行してしまうと、こうした不定期な支出の負担うやむやになり、最終的に妻側のパート収入や家族の貯蓄が食いつぶされることになります。

 

共働き世帯や高収入世帯で「夫婦別財布」を選択している家庭に多いのが、お互いの貯金力や総資産を把握していないケースです。

 

夫も妻も「相手が貯めているだろう」と思い込み、手元に残ったお金を使い切ってしまう結果、定年退職を迎えた時点で老後資金がまったく作れていなかったというケースも。特に50代後半は、定年退職後の老後資金をラストスパートで貯めなければならない重要な時期です。このタイミングでの「小遣いを増やすための財布別制」は危険といえます。

 

家計の自由度を上げたい場合は、安易に財布をわけるのではなく、以下の手順で透明性を持った見直しを行うことが推奨されます。

 

特別費を含めた「年間家計簿」の作成

毎月の固定費だけでなく、年間で発生する税金、イベント費、予備費を洗い出し、年間でいくら必要なのかを夫婦で共有する。

 

「教育費の終わり」を考慮した老後資金計画

子どもが卒業した後に浮く教育費をそのまま小遣いに回すのではなく、老後資金の貯蓄(NISAやiDeCoなど)へどうスライドさせるかを計算する。

 

小遣い増額の明確な条件設定

「残業代が増えた月は一定割合を還元する」「固定費(通信費や保険料)を削減できた分を小遣いに回す」など、家計全体の収支を改善したリターンとして小遣いを調整するルールを作る。

 

夫婦のどちらか一方だけが我慢を重ねたり、無計画なお金の使い方を許容したりする関係は持続は難しいでしょう。定年後の生活を見据え、夫婦で資産形成のゴールと現状の数値を客観的に共有することこそが、円満で安心できる家計運営の鍵となります。

 

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