夫の収入に支えられ、長年専業主婦として暮らしてきた人でも、離婚や死別をきっかけに突然「働かなければならない立場」になることがあります。53歳女性が直面した再就職の実情をみていきます。
「もう限界だ…」〈月収65万円〉50歳夫から三行半の53歳専業主婦、ハローワークの窓口で若い担当者に言われた屈辱の一言 ※写真はイメージです/PIXTA

浪費が止まらない妻に夫が三行半

「今月もカードの請求が28万円だ」

 

佐藤直樹さん(50歳・仮名)は、妻の美紀さん(53歳・仮名)にクレジットカードの利用明細を差し出しました。

 

「食費や日用品もあるんだから、普通でしょう」

「先月も25万円を超えていた」

「あなた、月65万円も給料をもらっているじゃない」

 

美紀さんは結婚を機に退職し、その後約30年間、専業主婦として暮らしてきました。直樹さんは大手企業に勤め、年収は1,000万円を超えています。

 

給与口座の管理は美紀さんに任せていました。夫婦2人になっても食費は月8万円前後。美紀さんのカード利用額は月20万円から30万円に上りました。ランチ、美容、洋服、旅行などの支出です。

 

一方、直樹さんの小遣いは月3万円。昼食代で多くが消えます。仕事上の付き合いでどうしてもお金が足りないときは、美紀さんに頭を下げます。

 

そろそろ老後を見据えて、真面目に資産形成を考えるタイミング。しかし美紀さんの散財は止まりません。

 

「このままじゃ、いくら稼いでも残らない」

 

家計の見直しを求めても、美紀さんは首を縦に振りません。

 

「いやよ。これまでこれでやってきたじゃない」

(なぜ、妻が好き勝手やっているのに、自分はこんなに我慢を続けないといけないんだろう……)

 

話し合いは平行線。直樹さんは限界に達します。数週間後、離婚届を持ち帰り、美紀さんに突きつけます。

 

しかし美紀さんは、本気だとは思っていませんでした。直樹さんの意思は変わりません。話し合いの末、マンションと預貯金のすべて(100万円ほど)を美紀さんに渡し、直樹さんが出ていくことになりました。

 

最高裁判所『令和7年 司法統計年報(家事編)』によると、家庭裁判所に申し立てられた婚姻関係事件(離婚調停など)において、夫側の申立て動機(総数15,355件、主な動機を3個まで重複集計)で最も多いのは「性格が合わない」(9,004件)ですが、次いで「異性関係」(1,823件)や「浪費する」(1,784件)が上位に挙がっています。

 

あくまでも裁判沙汰になった離婚劇ではあるものの、妻の度重なる浪費や家計管理をめぐる対立は、単なる金銭問題にとどまらず「性格の不一致」や信頼崩壊へと発展し、長年連れ添った夫婦であっても離婚を決意させる重大な動機となっている実態がうかがえます。