※写真はイメージです/PIXTA
「65歳までに完済」のつもりでした
都内在住の会社員、高橋浩司さん(55歳・仮名)。現在の手取りは月50万円前後。妻と大学生の子ども1人の3人で暮らしています。
40歳のとき、高橋さんは都内にマンションを購入しました。物件価格は5,500万円。貯蓄から1,000万円を頭金に充て、住宅ローンとして4,500万円を借りました。
返済期間は25年。月々の返済額は約18万円でした。
「65歳になる前には払い終えるつもりでした。定年後までローンを抱える生活は避けたかったんです」
購入当時は、それで問題ないと考えていました。高橋さんには安定した収入があり、妻も働いていました。子どももまだ小さく、教育費も今ほどかかっていませんでした。
ところが、その後、家計の状況は少しずつ変わっていきます。子どもの成長とともに教育費が増えました。妻の収入も以前ほど安定しなくなります。住宅ローンに加え、マンションには管理費や修繕積立金も必要です。
毎月の住居費は、家計にとって決して軽いものではありませんでした。
「給料はそれなりにあるのに、月末になると余裕がない。ボーナスが入って、ようやく貯金を減らさずに済むような感じでした」
さらに追い打ちをかけるように、会社の業績悪化により給与が減額。一気にローン返済が苦しくなりました。高橋さんが47歳のときのことです。
高橋さんはまず、金融機関に相談。住宅ローンの返済期間を延ばし、毎月の返済額を下げることにしたのです。
完済予定は75歳に変更。月々の返済額は、約18万円から約12万4,000円まで下がりました。
「毎月5万円以上違いました。かなり楽になりました」
もちろん、65歳、年金を受け取る年齢になっても住宅ローンが残ることは、高橋さんも理解していました。返済予定表には、65歳時点でも1,400万円ほどの残債があることが示されていました。
しかし、高橋さんには1つの考えがありました。
「退職金で返せばいいと思っていたんです。65歳まで働いて、最後に残ったローンをまとめて返す。それなら何とかなると」
47歳の高橋さんにとって、その計画は現実的に思えました。
厚生労働省『令和5年就労条件総合調査』によると、勤続20年以上かつ45歳以上の定年退職者(大学・大学院卒)の平均退職給付額は1,896万円(勤続35年以上で2,037万円)です。
仮に退職金で残債1,400万円を一括返済した場合、手元に残る老後資金は数百万円程度にとどまります。