高齢期における一人暮らしや配偶者の別れに伴う「孤独感」は、日常の話し相手や親切な対応への依存を生み出しやすく、時にトラブルの引き金となることも……。事例を見ていきましょう。※事例の人物名はすべて仮名です。
話し相手が欲しかった…年金月15万円の69歳独居父、毎日通った保険ショップで加入した「500万円の保険」。42歳娘が激怒したワケ (※写真はイメージです/PIXTA)

シニア層を取り巻く相談現場の現実

サブローさんの事例のように、契約手続き自体には違法性がなくとも、高齢者の「孤立」や「判断能力の隙間」がきっかけとなって保険等の高額な金融商品の契約を結んでしまい、後から家族が困惑・激怒するトラブルは後を絶ちません。

 

独立行政法人国民生活センターが発表した「2024年度 65歳以上の消費生活相談の状況」によると、2024年度に全国の消費生活センター等に寄せられた65歳以上の相談件数は30万4,130件に達し、2023年度の27万7,604件から大幅に増加しています。相談全体に占める65歳以上の割合も38.6%と、2020年度以降で最高となりました。

 

契約購入金額の割合を見ると、65歳以上の相談事例において「100万円以上500万円未満」の契約が7.5%存在しており、まとまった老後資金が一度の契約で動いてしまうリスクの高さがうかがえます。

 

また、金融庁が公表した「『金融サービス利用者相談室』における相談等の受付状況等(令和7年4月1日~同年6月30日)」によると、同期間に寄せられた1万5,211件の相談のうち、「保険商品等に関するもの」は2,032件(全体の13%)を占めています。要因別では「個別契約の結果に関するもの」が44%と最も多く、契約内容そのものや結果に対する不満・疑問が多く寄せられていることがわかります。

 

保険会社や代理店は、法令に基づいた適正な募集手順を踏んでいるため、不法行為として契約を取り消すことは容易ではありません。しかし、現場の営業活動とシニアの心の隙間が噛み合ってしまった結果生じる「感情的なしこり」は、数値や書類だけでは解決できない問題です。

 

では、トラブルを防ぐにはどうすればよいのでしょうか? 3つの視点を整理します。

 

「親切な第三者」に頼りすぎない関係性の維持

高齢で一人暮らしの場合、店舗スタッフや営業担当者を「唯一の親しい相談相手」と思い込んでしまう傾向があります。たまの連絡であっても、お金の使い方や日常の過ごし方についてオープンに話せる雰囲気を家族間でつくっておくことが重要です。

 

高額契約時の「家族同席ルール」の確認

多くの金融機関や保険ショップでは、一定年齢以上のシニアがまとまった契約を行う際、家族の同席や事前同意を推奨・確認する態勢を整えています。あらかじめ親の取引金融機関や希望の意向を確認し、必要に応じて「高額契約時は必ず家族に一言相談する」という約束を書面や口頭で作っておくことが有効です。

 

困ったときの相談窓口の活用

契約内容に少しでも疑問を感じたり、解約手続きでトラブルになったりした場合は、早期に最寄りの消費生活センター(消費者ホットライン「188」)や、金融庁の「金融サービス利用者相談室」、生命保険協会の紛争解決機関(ADR)へ相談することが推奨されます。

 

高齢期の親が抱える「孤独」と「お金の管理」は、決して他人事ではありません。親の自立した意思やプライベートを尊重しつつも、日ごろからのコミュニケーションと見守りの目を持ち続けることでトラブルを未然に防ぎましょう。

 

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