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「ここを売れば、少し楽になる」と考えた81歳男性
「死ぬまで、ここにいるしかないんだな……」
東京都内のマンションで一人暮らしをする佐藤昭さん(81歳・仮名)。40年以上前、40代のころ、結婚を機に現在のマンションを購入しました。
当時は新築。駅から徒歩圏内で、周辺にはスーパーや病院もありました。会社員として働きながら住宅ローンを返し、60代半ばには完済しました。
「持ち家は憧れでしたし、老後も安心だ、そう思っていました」
妻は数年前に亡くなり、現在の収入は公的年金の月15万円ほどです。
生活そのものは、年金の範囲で何とかやりくりできています。問題になったのは、毎月の住居費でした。
現在、管理費と修繕積立金を合わせて月4万円を超えます。築年数を重ねるごとに、修繕積立金は引き上げられてきました。佐藤さんのマンションでも、外壁や給排水設備など、築40年を超えた建物ならではの修繕が必要になっているのです。
「年金は増えないのに、住むためのお金は上がっていく。これがずっと続くのかと思うと、だんだん不安になりました」
国土交通省『令和5年度マンション総合調査』よると、長期修繕計画に対して修繕積立金が不足しているマンションは36.6%に上ります。また、空室のあるマンションは34.0%。完成年次が古いマンションほど、空室がある割合は高くなる傾向も確認されています。築年数を重ねたマンションでは、住戸そのものだけでなく、建物全体をどう維持していくかが問題になります。
佐藤さんが気にするようになったのが、「この先、このマンションを売れるのか」ということでした。
ある日、不動産会社に相談しました。
「売ったお金で、もう少し管理費などの負担が軽いところへ移れないかと思ったんです」
ところが、担当者から聞かされたのは、思っていたほど簡単な話ではありませんでした。マンションそのものは所有者が自由に売却できます。しかし、買い手が現れるかどうかは別問題です。
築40年を超えたマンションでは、購入後の修繕費や管理状態を気にする買い手も少なくありません。佐藤さんのマンションでは、以前から空き住戸も目立つようになっていました。
「同じ建物のなかでも、住んでいない部屋が増えています。そんな状態で、私の部屋を買ってくれる人がいるのかと思ってしまって……」
総務省の「令和5年住宅・土地統計調査」によれば、全国の空き家は900万戸に達し、空き家率は13.8%と過去最高になりました。さらに、賃貸・売却用や別荘などを除く空き家も385万戸あります。空き家が増えているからといって、すべての住宅が売れないわけではありません。ただ、立地や築年数、管理状態などによって、売却のしやすさには差が出ます。