「親身に相談に乗ってくれた」「タダだから損はない」――そう思って利用した「無料相談」が、実は高額な買い物の入り口になっているケースは少なくありません。本記事ではニックFP事務所のCFP山田信彦氏が、尾形さん(仮名)の事例をから、「無料相談」の落とし穴について解説します。※個人の特定を防ぐため、事例の一部を脚色しています。
「タダ」に飛びついた俺は、まんまとカモにされていたのか…年金暮らしの68歳独身男性が青ざめた“消えていく無駄な保険料”。通い詰めた〈保険代理店〉のワナ【CFPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

タダほど高い物はない…「無料相談」のワナ

尾形さんから一連の経緯を聞いたFPは次のように話しはじめました。

 

「無料相談には避けるべきものと利用価値あるものの2種類に大別できます。避けるべき無料相談とは、商品の仕入れ先から紹介料や販売手数料をもらうために、尾形さんのようなお客に対しては無料相談という体裁をとっているものです。尾形さんが買わされてしまったものを順番に見ていきましょう」

 

民間保険

独身で遺す相手といえば最近はあまり会ってもいない3歳下の弟くらいの尾形さんに、重い死亡保障など不要でした。毎月の高い保険料の裏には、高額な販売手数料が隠されています。また、加入当時でも5,000万円の預貯金があった尾形さんにとって、入院で1日1万円、手術で50万円もらえる程度の医療保険が本当に必要だったのかも疑問です。

 

投資信託

勧められるままに購入したのは、購入時手数料が3%近く、信託報酬(管理費用)も年2%を超えるテーマ型のハイリスク投資信託ばかりでした。「IFAというプロが勧めたのだから間違いない」と思い込んだようですが、高額な手数料や信託報酬によって運用資産が削り取られ、彼らの「養分」になってしまっています。

 

スマホ

月々数千円とはいえ、「チリも積もれば山となる」です。そもそもまったく利用していないアプリの使用料を払い続けることは、惜しい出費といえます。

 

老人ホーム

入居した有料老人ホームは、入居者を1人紹介するごとに紹介センターへ「百万円単位の紹介料」を支払う仕組みになっています。紹介したのは「尾形さんに適した施設」ではなく、「高額な紹介料を払い、空室を埋めたがっている施設」だった可能性が高いのです。

 

説明を受けた尾形さんは、「俺は、まんまとカモにされていたのか……」とみるみる青ざめて行きました。

 

「それでは利用価値がある無料相談についても説明しましょう」とFPは続けました。

 

「それは、非営利団体によるボランティア的な無料相談会や、今回のような初回お試しの無料相談です。すでに1時間以上経ってしまいましたので本日の相談はここまでとなります。今後、尾形さんが抱えている問題点を解決していくべく、引き続きサポートを続けることも可能ですが、有料になります。なお、その場合は『中立的』どころか100%尾形さんの側に立って問題に取り組んでいくことをお約束できます。理由は単純明快です。私にお金を払ってくださる『お客様』は、業者ではなく尾形さんだからです」

 

FPの説明に心から納得した尾形さんは、この有料相談に申し込むことを決めました。

 

 

山田 信彦

ニックFP事務所

代表

 

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