結婚する際に夫の希望で退職し、25年間専業主婦として家庭を支えてきた女性。しかし、物価高や教育費で家計が圧迫されると、夫から思いもよらぬ不満をぶつけられます。ある事例から、熟年夫婦が直面する家計の危機をみていきます。
「あんたが仕事を辞めろと言ったんだろ!」〈専業主婦歴25年〉の53歳女性、〈月収68万円〉55歳夫にキレた納得のワケ ※写真はイメージです/PIXTA

夫の「専業主婦は楽をしている」発言に、妻、カチン

夫婦が決定的にぶつかったのは、家計の見直しをしていた夜でした。浩二さんは、貯蓄が減っていることを指摘しました。

 

「このままじゃ老後資金が足りない。お前も少しは働けよ」

 

真紀さんは黙っていました。しかし、続いた言葉で我慢が切れました。

 

「専業主婦って楽だよな。俺が働いている間、ずっと家にいるだけなんだから」

「……あんたが仕事を辞めろと言ったんだろ!」

 

真紀さんは、初めて声を荒らげました。

 

「子どもが熱を出したとき、誰が会社を休んだ? 学校から電話が来たとき、誰が迎えに行った? あんたは一度でも家のことを優先してくれたの?」

 

浩二さんは何も答えなかったといいます。

 

その後、真紀さんは週3日のパートを始め、月8万円程度の収入を得ることになりました。一方、浩二さんも毎月5万円かかっていた小遣いを減らし、通信費や保険料も見直しました。

 

「小遣いを減らしたことに、夫はブーブー言っていましたが、あなたも身を削れって話ですよね。私、働くこと自体は嫌じゃないんです。会社も辞めたくて辞めたわけではないし。ただ、『お前が悪いから働け』と言われているみたいで、それは違うと思います」

 

内閣府『男女共同参画白書 令和8年版』によると、結婚経験のある女性の27.5%が、配偶者から暴言などの心理的攻撃や生活費を渡さないといった経済的圧迫を含む暴力を受けた経験があります。家庭内での貢献が「家にいるだけ」と軽視される背景には、根深い役割分担意識があります。

 

男性の育児休業取得率は40.5%まで上昇していますが、未だに家事や育児などの無償労働の負担は女性に偏りがち。家計が苦しく、専業主婦の妻も働いてほしい――そのような場合であっても、まずは家庭を支えてきた妻の働きを正当に評価する姿勢が大切です。