観光庁「旅行・観光消費動向調査」によると、2025年7~9月期の日本人の国内旅行支出は、1人1回あたり約5万円。宿泊旅行では7万円を超えています。家族で遠方へ帰省すれば、まとまった出費になるのも無理はありません。しかし、その節約のために親族の家を「実家」のように使えば、負担は迎える側へ移ります。義両親がすでに四国へ移住したにもかかわらず、義姉一家から自宅をたびたび宿泊先にされている42歳共働き女性の事例を見ていきます。
お義姉さんたち、また来るの?お盆に続きシルバーウィークも…〈年収700万円・42歳共働き妻〉が義姉一家総出の訪問に悲鳴。「ここはもう実家じゃないんですよ」と告げたワケ (※写真はイメージです/PIXTA)

夫の態度はフキハラ?

そこでミホさんは夫に、

 

「私もシルバーウィークはゆっくりしたいから、断って」

 

とはっきり伝えました。

 

すると夫は、あからさまに不機嫌になったといいます。

 

実は夫には以前から、気に入らないことがあると口数が減り、態度で不満を示すところがありました。

 

こうした、不機嫌な態度によって周囲に心理的な圧力をかける振る舞いは、俗に「フキハラ(不機嫌ハラスメント)」と呼ばれることもあります。

 

以前のミホさんなら、家の空気が悪くなることに耐えられず、夫の機嫌を取っていたそうです。

 

しかし今回は違いました。

 

「娘も夫が不機嫌になると空気を読むんです。父親が不機嫌になったら、母親が折れる。そんなのを普通の夫婦だと思ってほしくないと思いました」

 

夫の機嫌を直すために自分が譲る生活を、もう続けたくない。そう思い、これまで飲み込んできた言葉を伝えました。

 

「もう別世帯なんだよ。ここは、お義姉さんの実家じゃないんだけど。いい大人ならわかるよね?」

 

「離婚上等」くらいに思っている

夫は黙っていたそうです。しかしミホさんにも、もう譲るつもりはありませんでした。

 

「これで夫婦関係が悪くなるなら、仕方ないと思っています。離婚上等、くらいです」

 

もちろん、受験生の娘がいる以上、離婚は簡単な問題ではありません。

 

それでもミホさん自身には約700万円の年収があります。

 

「離婚したら大変なこともあるでしょうけど、娘と2人で生活していくくらい、なんとでもなると思っています」

 

それ以上に、夫の機嫌をうかがって自分が折れる姿を、娘に見せ続けるほうが良くないと思いました。

 

義姉一家の宿泊だけが問題だったわけではありません。

 

家族だからと我慢し、嫌だと伝えれば夫が不機嫌になり、結局自分が折れる。その積み重ねにも、限界が来ていたのでしょう。

 

義姉にも「もうここはお義姉さんの実家じゃないんです。私たちの予定もあるので」と淡々とLINEで告げたミホさん。義姉からの返事はまだありません。

「埼玉だからって、気軽に来ないでほしい」

ミホさんは、義姉一家と縁を切りたいわけではありません。

 

「日帰りで遊びに来たり、外で一緒にご飯を食べたりするならいいんです」

 

嫌なのは、自分たちが暮らしている家を、いまだに当然のように「実家」として使われることです。

 

「埼玉だからって、気軽に来ないでほしい」

 

義姉一家にとって、弟夫婦の家に泊まれば交通費や宿泊費を抑えられます。けれど、その節約によって負担自体が消えるわけではありません。

 

食事や光熱費、寝具、洗濯、片付け。そして迎える側の休日。誰かの「安く済んだ」の裏側で、別の誰かがお金や時間、労力を負担している場合があります。そして何より、家族であっても世帯は別です。

 

義姉にとって思い出のある「実家」であっても、現在そこに暮らしているのはミホさん一家です。

 

「お義姉さんたちにとって連休なら、私にとっても連休です。私だって、自分の家でゆっくりしたいですから」

 

今年のシルバーウィークをめぐり問われているのは、義姉一家が泊まりに来るかどうかだけではありません。

 

夫がこれから、「姉にとっての実家」と「自分が築いた家庭」の境界線をどこに引くのか。そのことなのかもしれません。

 

 

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