(※写真はイメージです/PIXTA)
「エプロン持って行ってね」夫の一言に耳を疑った瞬間
美紀さん(42歳・仮名)は、会社員の夫・健太さん(44歳・仮名)と中学生の娘との3人暮らし。美紀さんの年収は約600万円、健太さんは約750万円です。
夫婦ともに仕事が忙しく、普段の家事は「できるほうがやる」が基本。健太さんも料理や掃除をするため、美紀さんはそれなりに分担できていると思っていました。
ところが夏、夫の実家へ帰省する前日。荷造りをしていた美紀さんに、健太さんが何気なく言いました。
「エプロン持って行ってね。母さんも料理、大変だと思うから」
美紀さんは思わず聞き返しました。
「じゃあ、あなたも持っていくの?」
「俺? なんで?」
その一言に、長年抱えていた違和感が一気に噴き出したといいます。
夫はビール、妻は台所
結婚して十数年。夫の実家へ行くと、健太さんは父親やきょうだい、親戚と居間で談笑します。一方、美紀さんは義母に「何かお手伝いしましょうか」と声をかけ、料理の盛り付けや配膳、片付けを手伝うのが恒例になっていました。
義母から強制されたことはありません。むしろ「座っていていいのよ」と言われることもあります。それでも、忙しく動く義母を前に自分だけ座っているのは気まずく、自然と台所に立ってきました。
「お義母さんの手伝いをすること自体は、全然いいんです。1人で準備するのは大変だし、私もできることがあればやりたい。ただ、じゃあ夫や義父はずっと座って何してるの? って思うんですよね」
美紀さんが引っかかっていたのは、「自分も手伝わなければならない」ことではなく、なぜ手伝う人がいつも女性だけなのか、という点でした。
今回、夫から当然のように「エプロンを持って行って」と言われたことで、その違和感がはっきりしたといいます。
「夫のなかでは、私は最初から“母親を手伝う人”として数えられていたんですよね」
「みんなで食べるなら、あなたも手伝えばいいじゃない」と言うと、健太さんは「でも美紀は女同士だし……」と返したそうです。
「共働きなのに、夫の実家に行った途端、『男は座って、女は台所』になる。それが嫌だったんだと思います」
結局、美紀さんはエプロンを持っていきませんでした。必要な手伝いはしたものの、これまでのように率先して台所に立ち続けることもやめました。