(※写真はイメージです/PIXTA)
転職エージェントから予想外の高評価
リストラを言い渡された翌日、沢田さんは製造業・メーカー専門の転職エージェントに登録しました。これまでの経験を活かせる業界に的を絞ることで、時間はかかったとしても納得のいく会社に出合えると考えたのです。
「54歳・平社員」という経歴に厳しい現実を覚悟していた沢田さんでしたが、面談でのキャリアアドバイザーの反応は意外なものでした。
「管理職経験がないことを気にされているかと思いますが、14年間もメーカーの現場で不具合の解析や外注先とのトラブル調整をされてきた経験は大きな強みですよ」
そう言って紹介されたのは、エレクトロニクス系専門商社であるA社の求人でした。「テクニカルサポート・品質管理担当」として、国内外のメーカーから仕入れた電子部品の不具合対応をはじめ、顧客と現場の間に入って問題を解決する仕事です。これまでの経験が生かせるとの思いから、沢田さんは二つ返事でA社の選考を受けることにしました。
提示された年収は550万円。現職から70万円アップ
後日、沢田さんのもとにA社から内定の連絡が届きました。現場で培った問題解決能力と深い専門知識、そして誠実な人柄が評価された結果でした。
提示された年収は、現職の480万円を上回る「550万円」。土・日・祝が休みで、これまでの経験をそのまま活かせる環境です。沢田さんはすぐに内定を承諾し、退職日の翌月からA社で働くことが決まりました。
現職の退職日を待たずにA社から内定をもらった沢田さんでしたが、そのことは誰にも言いませんでした。退職日の当日、心なしか周囲から腫物に触るような対応をされましたが、沢田さんの心は晴れやかです。
「リストラを通告されたときは目の前が真っ暗になったけど、おかげでA社に転職ができて年収もアップした。人生どうなるかわからないものだな」
不思議なほど穏やかな気持ちで、沢田さんはオフィスを後にしました。
厚生労働省「令和7(2025)年雇用動向調査結果の概要」によると、50歳~54歳の男性における一般雇用(パート以外)での転職割合は約4.1%です。
このデータを見る限りでは、50歳~54歳の転職は厳しいと感じてしまうかもしれません。しかし、大事なのは「これまでの経歴を次の職場でどのように生かせるかを考えること」です。実際に、管理職経験のない沢田さんは、現場で培った専門技術と高い問題解決能力が評価されて内定につながりました。
年齢を変えることはできません。だからこそ、日頃の地道な積み重ねが人生の土壇場で自分を助けてくれるのです。
