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嫁、限界。「もう来ないでくれますか」と言いたいが…
孫の1歳の誕生日を前にしたある休日。茂さんは翔太さんに電話をかけました。
「今度の日曜日、遊びに行っていいかな?」
すると、翔太さんは少し間を置いて答えました。
「父さん……しばらく、来ないでくれないか」
茂さんは耳を疑いました。
「美咲が疲れているんだ」
「今は家に来られること自体が負担なんだ」
それ以上、翔太さんは詳しいことを話しませんでした。実はその少し前、美咲さんは翔太さんにLINEを送っていました。
「お義父さん、もう来ないでくれますかって言いたいくらい、しんどい」
「お義父さんが嫌いなわけじゃない。でも、来るたびに子どものことを聞かれて、私がやっていることを否定されているように感じる」
美咲さんのLINEを受けて、翔太さんは自分の言葉で訴えたのです。
「父さんが悪いわけじゃない。でも、どうしても来られると気を遣ってしまうんだ」
そこで初めて、茂さんは考えました。
孫に会いたい。
成長を見たい。
何か買ってあげたい。
自分の気持ちを押し付けていただけだったと。それ以来、茂さんは自分から息子夫婦の家を訪ねることはなくなりました。孫の写真が送られてきても、「かわいいね」と返信するだけです。何か贈りたいときも、まず翔太さんに相談します。
「正直、寂しかったです。でも自分の都合だけを押しつけるのは違うと思いました」
しかし、しばらくすると翔太さんから「今度の日曜日、よかったら昼ご飯を食べに来ない?」などと誘ってくれるようになりました。
そして遊びに行ったときには、育児の話になっても、自分の経験を持ち出さない、「昔はこうだった」と言わない、何か気になることがあっても、口を挟まないよう気を付けたといいます。
すると美咲さんから「今日はありがとうございました。またいらしてください」と言ってもらえるようになったそうです。
「家族とはいえ、心地いい距離感があるんですね。勉強になりました」
国立社会保障・人口問題研究所『第7回全国家庭動向調査』によると、母親との距離が「60分未満」の近居割合は72.1%に上り、スープの冷めない距離で暮らす親子は多いのが実情です。しかし、子育てにおける「親(祖父母)」への依存度は低下傾向にあり、「平日の昼間の1歳から3歳児の世話」において親を頼る割合は、2008年の13.0%から2022年には7.4%へとほぼ半減しました。