厚生労働省『令和6年国民生活基礎調査』によると、65歳以上の人がいる世帯は全世帯の半数。そのうち一人暮らしは33.8%を占めています。家族が別々に暮らす時代、「家族だから」と踏み込んだことが、思わぬ亀裂を生むこともあります。今回は、72歳男性の事例から、その実態をみていきます。
「お義父さん、もう来ないでくれますか」…〈年金月16万円〉〈預貯金2,200万円〉72歳男性、32歳義娘から拒絶。きっかけとなった「LINE」の中身 ※写真はイメージです/PIXTA

義父「孫を産んでくれてありがとう」に嫁、違和感

「孫を産んでくれてありがとう」

 

東京都在住の佐藤茂さん(仮名・72歳)。2年前、初孫が生まれたとき、息子の妻である美咲さん(32歳・仮名)にそう伝えました。

 

あとから聞くと、その一言が“違和感”の始まりだったといいます。

 

息子夫婦の自宅は、茂さんの家から電車で20分ほど。初孫が生まれてからは、月に2~3回ほど訪ねるようになりました。

 

茂さんには月16万円ほどの年金があります。現役時代に貯めた預貯金は約2,200万円。住宅ローンはすでに完済しています。

 

「生活に余裕がある。だから、孫に何かしてあげられるのがうれしかったんです」

 

内閣府『令和7年度 高齢社会対策総合調査』によると、日本の高齢男性の45.9%が「子どもや孫など家族との団らんの時」に生きがいを感じると回答しており、孫の存在は大きな活力です。

 

遊びに行くときは、紙おむつや離乳食を買っていきました。孫の誕生日には1万円を包みました。しかし、少しずつ様子が変わっていったと振り返ります。最初に違和感を覚えたのは、息子夫婦の育児について口を出したときでした。

 

「昔は抱き癖をつけるなと言ったものだけどね」

「そんなに神経質にならなくても大丈夫だよ」

 

茂さんにとっては、自分の子育て経験を話しただけでした。ところが、美咲さんの反応は以前とは違っていました。以前なら笑って聞いていたのが、次第に返事が短くなったのです。

 

「子育てで疲れているんだろう」

 

そう考えていました。

 

その後も、孫の写真が送られてくると、「次はいつ会える?」と息子に聞きました。休日に息子夫婦の家の近くまで行った際には、「少しだけ顔を見せてもいいか」と連絡したこともあります。

 

断られたことはありません。一方、美咲さんは、夫に少しずつ不満を伝えていました。

 

「お義父さんが嫌いなわけじゃない。でも、家に来る回数が多い」

「子どものことを決めるのは私たちだよね」

「断りづらいのが一番しんどい」

 

息子の翔太さん(35歳・仮名)は、そのたびに「悪気はないから」と父親をかばっていたそうです。