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運動会での元陸上部顧問としての「指導」
もう義父には家に来ないでほしいと考えていた妻Kさんにとって、我慢の限界が訪れました。それはMくんの運動会でのこと。
祖父Yさんは日程を知らされなかったため、学校のウェブサイトで運動会の日付を調べて上京しました。「ずっと走る練習をしてきたんだ、努力の成果を確認しなきゃな」と、今度は部活の顧問気取りです。
当日、祖父Yさんは孫Mくんを呼び寄せ、腕の振り方を説明しはじめました。出番の直前で緊張している本人にとっては、迷惑でしかありません。友達からもからかわれます。結果は2位。Yさんは満足げです。
Yさんは近くにいた保護者に聞こえる声で「あの先生の指導では速くならない。私が教えたら早くなった。私は陸上部の顧問だったんだ」と話しているのを妻Kさんが目撃しました。
運動会が終わり自宅に戻ると、妻KさんがMくんに「2位になれてよかったね」と褒めると、Mくんは微妙な表情。「全然嬉しくない」そう小さな声でいいました。
その瞬間、妻Kさんは怒りの頂点に達し、気持ちが切れるのがわかったそうです。
「お義父さん、もうここには来ないでください。この子のことは私たちが決めます」
すると祖父Yさんは「お前らの子育ては責任放棄だろ! 頼りないから俺が新幹線代も払って来てやってるんだ!」と激昂。
「これ以上、Mを虐待するなら、警察にも相談します」
虐待、警察という言葉を聞いてYさんの表情が変わりました。「わかった、もう来ない」そういって、その日は名古屋に帰っていきました。
元妻に相談してみると…
Yさんは誰かに相談したい気持ちでしたが、友達も知り合いも誰もいません。勇気を振り絞って離婚した元妻Hさんに連絡してみました。「孫のことで」というと、元妻は息子のSさんから話をすべて聞いていたようです。Hさんの住まいの近所にあるファミレスで、Yさんは激しく叱られました。
「同じ失敗を何度繰り返すの。生活指導を受けなきゃならないのは、あなた自身でしょ。あなたのその卑劣な人格を叩きなおしてもらう生活指導を受けてきなさい。そうだ、刑務所がいいんじゃないの? 刑務官に叩きなおしてもらったら? 自分が息子や孫や昔の生徒たちにしてきたように!」
「刑務所って、俺は犯罪者なのか……」
夫婦だったときには考えられないほどの厳しい言い方でした。「俺は犯罪者じゃない」といいかけましたが、元妻は「虐待は犯罪でしょう。あなたは息子を何度叩きましたか? 生徒に何度平手打ちしましたか? 今度は孫ですか? 孫を虐待する祖父なんて、聞いたことがありません」と、延々1時間も説教を続けます。
「俺の人格まで否定することはないだろう」と反論しても、元妻は「あなたが他人を見下してやってきたことと同じでしょう。あなたを結婚式に招待してくれた元生徒がいましたか? ゼロでしょう。恨まれてるんでしょ」
元妻は二度と孫に関わるな、顔を見せるな、葬式にも絶対に行かせないとまでいい、興奮したまま帰っていきました。元妻が慰めてくれるかと思っていたYさんには、ショックの上塗りに。
数週間悩んだ挙句、YさんはMくんの教育資金として500万円の贈与を息子夫婦に電話で申し出ました。しかし夫婦は明確に拒否。
「Mのためになにかしたいと思うのなら、二度とその顔を見せないでほしい。それが最大の支援だから」と息子Sさんにいわれる始末。「わかったよ……」と力なく、Yさんは電話を切りました。
妻に去られ、息子には拒否され、孫を虐待する最悪の祖父といわれ、教員としての過去も否定され、Yさんはそこから生活の気力もなくなり、自宅も荒れ放題になっていきました。セルフネグレクトの一歩手前の状態です。