義父からのありがたい資金援助。心から助かったはずの好意に対し、なぜ嫁は「ごめんなさい」と頭を下げなければならなかったのでしょうか。ある事例から、親からの資金援助の先で起こりうるトラブルについて考えます。
「お義父さん、ごめんなさい……」孫の塾代「100万円」をポーンと援助した〈78歳義父〉、42歳嫁が懺悔のワケ ※写真はイメージです/PIXTA

「塾代に使いなさい」とポーンと援助

義父の佐々木博さん(仮名・78歳)が差し出した100万円を、嫁・美穂さん(仮名・42歳)が受け取ります。

 

「これ、受け取って。塾代に使いなさい」

 

長男は中学3年生。高校受験を控え、夏期講習や模試などの費用がかさんでいました。美穂さん夫婦は共働き。夫・浩二さん(仮名・45歳)の年収は約620万円、美穂さんは約300万円。世帯年収は920万円ほどあります。

 

ただ、余裕があるわけではありません。6年前に4,200万円で購入した戸建ての住宅ローンは残り約3,100万円。毎月の返済は9万8,000円です。小学5年生の次男もおり、食費や光熱費、住宅ローン、学校関連費などを合わせた毎月の支出は約40万円。年間の貯蓄額は120万円ほどでした。

 

「やっぱり受験ってお金がかかりますね」

 

義実家に遊びに行ったときに、近況を伝えるなかで、そうため息を漏らしたのを、博さんは覚えてくれていたのです。


「正直、助かりました。夫も『助かる』と喜んでいたので、ありがたくもらうことにしたんです」

 

文部科学省『令和5年度子供の学習費調査』によると、公立中学校における生徒1人当たりの年間学習費総額は平均54万2,450円ですが、高校受験を控える第3学年では60万7,325円へと増加します。夏期講習や模試費用が重なるこの時期、負担がいかに重いかが分かります。それだけに、博さんが差し出した100万円という援助は、美穂さん夫婦にとってまさに渡に船の支援だったのです。

 

元公務員の博さん。年金は月20万円ほどあり、預貯金は金融資産含めて5,000万円近くあるとか。大きな負債もなく、生活費は年金だけで十分。むしろ月5万〜6万円ほど余り、貯蓄は増えていく一方だったのです。

 

だからこそ、美穂さんも深く考えずに受け取ってしまいました。問題は、その翌週でした。