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半年ぶりに帰省した長男に母は…
佐藤健一さん(仮名・48歳)が実家を訪ねたのは、お盆シーズンは混むからと、早めにとった夏休みでのこと。実家があるのは、東北の地方都市です。父親が6年前に亡くなってから、母・美智子さん(仮名・75歳)は一人で暮らしていました。
大学進学とともに上京した健一さんは、そのまま東京で就職し、結婚。現在は、妻と高校生になる子供の3人暮らし。3人きょうだいの長男だという健一さんは、月2~3回美智子さんに電話をして近況を確認し、年に2~3回は実家に帰省していました。
今回の帰省は正月以来。そこで健一さんは衝撃的な告白を聞きます。
「家を売ったわ」
混乱するなか、「家を売ったって、どういうこと? 今、住んでいる、この家は誰のもの?」と尋ねます。
美智子さんは以前から、屋根の雨漏りと外壁の劣化を気にしていました。昨年秋には給湯器も故障しました。修繕業者から提示された見積もりは、屋根と外壁、給湯器などを合わせて約360万円になったそうです。
これに対し、生活のベースになる年金は月12万円、手取りにすると月11万円ほどでした。一方、生活費は月10万円前後。ほぼ年金だけで賄っていましたが、昨今の物価高の影響で、生活費が足りないときもありました。そんなときは預貯金を取り崩して対応していましたが、その預貯金は820万円ほど。今後、医療費が増えていくだろう、介護が必要になるかもしれない――そのようなことを考えると、できるだけ手を付けたくない、というのが本音でした。
「もし360万円も使ったら、近い将来、貯蓄が尽きてしまうかもしれない」
そう考えた美智子さんは、息子に相談することも考えました。しかし、やめました。
「息子は息子で、これから支出が増えていくでしょう。とても頼ることはできないと考えたんです」
そこで調べたのがリースバックでした。リースバックとは、自宅を売却して現金化したうえで、その後は賃料を支払って同じ家に住み続ける仕組みです。国土交通省も、住み替えや建て替え資金の確保などを目的とした利用例を紹介する一方、契約内容や将来の収支計画を十分に理解しないまま契約することでトラブルになるケースがあるとしています。
美智子さんが選んだのは、この方法でした。