毎年やってくるお盆。義実家への帰省を楽しみにする夫とは裏腹に、40歳のカナエさんは憂鬱な気持ちを抱えていました。年金月22万円で暮らす義両親に気を遣い、滞在費まで渡していたものの、夫は実家に着くなり“息子返り”。限界を迎えたカナエさんが翌朝、夫に突きつけた一言とは?
夫が「息子返り」するんです…〈年金月22万円〉の義実家へ帰省、滞在費まで渡した40歳共働き妻。深夜の「宅飲み」にブチ切れ、夫に発した一言 ※写真はイメージです/PIXTA

午後11時、夫が連れてきた「まさかの客」

時計が午後11時を回ったころ、玄関からハルトさんの声が聞こえました。

 

「ただいまー」

 

ようやく帰ってきた。

 

そう思ったカナエさんでしたが、夫の後ろにはもう1人男性がいました。

 

地元の友人です。

 

「これからちょっと家で飲むから」

 

カナエさんは言葉を失いました。しかし義母は驚く様子もなく、

 

「あら、〇〇くん。久しぶりね。いらっしゃい」とうれしそうに迎えます。

 

どうやらハルトさんが学生だったころから、帰省のたびに実家に友人を連れてきて飲むのは珍しいことではなかったようです。

 

義母はいそいそと台所へ向かい、酒のつまみを用意し始めました。そして食卓に並べられたものを見て、カナエさんはさらに虚しくなったといいます。

 

それは、カナエさん夫婦が義両親への手土産として持ってきた、少し値の張る珍味やフルーツでした。

 

「もちろん、差し上げたものなので、どう食べてもらってもいいんです。でも、お義父さんとお義母さんに喜んでもらおうと思って選んだものを、夫の宅飲みに全部出しているのを見たら、急にむなしくなってしまって」

 

交通費をかけて家族3人で帰省し、年金暮らしの義両親に負担をかけないよう滞在費まで渡す。その一方で夫は、実家に着くなり友達と飲みに出かけ、深夜には友人を連れて戻ってくる。

 

「私、何のためにここまで気を遣っているんだろうって思いました」

 

そこで、ついに我慢の糸が切れました。

“大きな長男”に戻った夫「たまの実家なんだから羽を伸ばしてもいいだろ」

翌朝、カナエさんはハルトさんに不満をぶつけました。

 

「友達と会うなとは言わない。でも、私は昨日ずっと1人で子どもの面倒を見ていたんだけど。深夜に宅飲みってどういうこと?」

 

しかしハルトさんは、あまり悪いことをしたという認識がない様子でした。

 

「たまの実家なんだから、羽を伸ばしてもいいだろ」

 

その言葉を聞いた瞬間、カナエさんは思わず言い返しました。

 

「じゃあ私はいつ羽を伸ばすの?」

 

ハルトさんは黙りました。

 

カナエさんが腹を立てていたのは、単に「夫が飲みに行ったから」ではありません。

 

普段は父親として育児をしている人が、実家の玄関をくぐった途端、母親に世話を焼いてもらい、地元の友人と遊ぶ「息子」に戻ってしまうことでした。

 

「夫が実家に帰ると、40歳の父親じゃなくてチャラい大学生くらいに戻るんですよ。私からすると、2歳児を連れてきたはずなのに、急に“大きな長男”まで増えた感じでした」

ブチ切れた妻の一言「だったら来年から1人で帰って」

そしてカナエさんは、続けてこう言いました。

 

「そんなに実家で自由に過ごしたいなら、来年から1人で帰って。私は涼しい軽井沢の実家に帰って羽を伸ばすから!!」

 

ハルトさんは驚きました。

 

「え? みんなで帰省しないの?」

 

「あなたが息子に戻りたいなら、それはそれでいい。でも、その間、私があなたの代わりに育児して、お義父さんとお義母さんに気を遣って、あなたの友達にまで気を遣う必要はないと思う。あなたは息子に戻れるかもしれないけれど、私は『嫁』になるの」

 

カナエさんが提案したのは、「セパレート帰省」でした。

 

ハルトさんは1人で愛知の実家へ帰り、カナエさんと長男は自宅で過ごす。あるいは、カナエさんの軽井沢の実家へ帰る。

 

もちろん、家族3人で義実家へ帰ること自体をやめたいわけではありません。

 

「3人で帰るなら、あなたも父親として帰省する。地元で好きに遊びたいなら1人で帰る。どっちかにしてほしいと言いました」

 

カナエさんは、「義両親には本当に悪いところはないんです」と話します。

 

むしろ義両親がいい人だからこそ、これまでは多少疲れても我慢してきました。

 

「夫が実家で“息子”に戻りたいなら、それはそれでいい。でも、そのために私まで付き合う必要はないですよね」

 

来年のお盆、ハルトさんが1人で愛知へ帰ることになるのか。それとも「父親」として家族3人で帰省するのか。

 

「そこは夫に選んでもらいます」

 

カナエさんは、そう笑いました。