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年金暮らしの義実家へ、家族3人で帰省
埼玉県で暮らすカナエさん(40歳・仮名)は、夫のハルトさん(40歳・仮名)、2歳の長男との3人暮らしです。共働きのカナエさん夫婦は、普段から家事や育児を分担しています。
「保育園のお迎えもしてくれるし、お風呂や寝かしつけもやってくれます。まあ共働きなので当たり前ですが。夫婦関係は、どちらかというとうまくいっているほうだと思います」
そんなカナエさんが毎年少し憂鬱に感じているのが、愛知県にある夫の実家への帰省です。
義両親との関係が悪いわけではありません。むしろ、「とてもよくしてもらっている」といいます。
ただ、義父母はともに70代。現在は夫婦合わせて月約22万円の年金で暮らしています。
厚生労働省「令和8年度の年金額改定について」によると、2026年度の夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な厚生年金額は月23万7,279円(※)。義両親の年金額は、それをやや下回る水準です。
「帰省したら食事を用意してくれるし、夏だからエアコンもつけっぱなしになる。孫が来れば、お菓子やジュースも買ってくれます。年金暮らしなのに、こちらが何も払わないのは申し訳なくて」
そこでカナエさん夫婦は、外食や買い出しの費用はなるべく自分たちで支払い、帰省のたびに数万円の滞在費も義両親へ渡していました。
※平均的な収入(平均標準報酬45万5,000円)で40年間就業した夫と、40年間専業主婦だった妻の2人世帯を想定したモデル年金
帰省する側にもかかる「お金」
もちろん、帰省するカナエさん一家にも出費があります。
「ハルメク 生きかた上手研究所」と「HALMEK up」が40〜65歳の女性573人を対象に実施した「お盆の帰省に関する意識・実態調査」(2026年7月公表)によると、2026年のお盆・夏休みに実親または義理の親の家へ帰省する予定がある人の、帰省全体にかかる費用は平均3万9,864円でした。
また、2025年にも帰省し、2026年も帰省予定の人のうち、16.0%が帰省費用は前年より「増加する見込み」と回答しています。
埼玉から愛知まで、2歳の長男を連れて移動するカナエさん一家も例外ではありません。
交通費に加え、義両親への手土産、滞在費。帰省にはそれなりのお金がかかります。
「だからといって帰省したくないわけではないんです。息子をおじいちゃん、おばあちゃんに会わせたいし、義両親も楽しみにしてくれているので」
ところが、そんなカナエさんの気遣いとは対照的に、実家に着いた途端、ハルトさんの様子は一変しました。
到着早々「じゃあ、飲みに行ってくる」
長時間の移動を終え、夕方に義実家へ到着したカナエさん一家。2歳の長男は、いつもと違う場所に興奮気味でした。
カナエさんが荷物をほどき、子どもの着替えやおむつを出していると、ハルトさんがスマートフォンを見ながら言いました。
「じゃあ俺、友達と飲みに行ってくるね」
カナエさんは思わず聞き返しました。
「今日?」
「だって、せっかく帰ってきたんだから。地元のみんなにも会いたいじゃん」
そう言うと、ハルトさんはさっさと出かけてしまいました。残されたのは、カナエさんと2歳の長男、そして義両親です。
義父母は優しく、長男とも遊んでくれます。
それでも、カナエさんにとっては「自分の実家」ではありません。
「冷蔵庫を勝手に開けるのもためらうし、お風呂に入るタイミングだって気を遣います。息子が物を壊さないか、騒ぎすぎていないかも気になる。義両親がいい人だからこそ、失礼がないようにと余計に気を遣ってしまうんです」
普段なら夫婦2人で分担している2歳児の世話も、その日はほぼカナエさん1人。
夕食を食べさせ、お風呂に入れ、ようやく寝かしつけたころには、すっかり疲れ切っていました。