念願のFIREを果たし、1.2億円の資産を手に入れた43歳男性。しかし、待っていたのは孤独と不安に苛まれる無味乾燥な日々でした。過度な節約や人間関係の断絶の果てに掴んだ「本当の豊かさ」とは何か――みていきます。
「FIREしても意味なかったな…」〈資産1.2億円・43歳〉、無味乾燥な節約生活のなかで気づいた「お金より大切なもの」 ※写真はイメージです/PIXTA

1.2億円を抱え込むのをやめ、地方で選んだ新しい生き方

退職から2年が経過したころ、佐藤さんは資産を守ることだけを目的とした生活を捨てることにしました。まず、現状を変えるために東京を離れることを決意します。

 

「東京で生活していくにはお金がかかる。東京にいる限り、資産を減らすことへの罪悪感は消えないと考えたんです」

 

東京都内の賃貸マンションを解約し、地方の古民家へ移住。さらに佐藤さんは、これまで抱え込んでいた資産の一部を使い、地域の人々が集まる「カフェ」を小さく立ち上げました。店舗の改修費用など含めて約1,000万円を投じましたが、支出を恐れる気持ちは不思議と消えていたといいます。カフェからの収入は月10万円程度ですが、近隣の農家から野菜を分けてもらったり、店舗の常連客と日々の雑談を交わしたりする時間が生まれました。

 

「これまで資産を減らしてはならないという強迫観念に囚われていましたが、今は幾分収まりました。ここなら、収入が途絶えても、資産が減り続けても、何とかなると思える。東京を離れるために資産を取り崩しましたが、今のほうが充実しています」

 

佐藤さんは現在、配当収入とカフェの事業収入を組み合わせ、無理のない範囲で生活を続けています。会社退職後の暮らしを振り返り、「FIREすることが目的でしたが、FIRE後の目的をきちんと見据えておくべきだったと反省しています」と語ります。一度途切れた昔の友人たちとの関係も、徐々に戻りつつあるそうです。

 

「この前、会社員時代の同期が遊びに来てくれました。『前よりいい顔している』と言われました」