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「残高12万円」衝撃の銀行通帳
異変が発覚したのは、台風で自宅の屋根の一部が破損したときでした。修理業者からの見積もりは約80万円。昭子さんは健太さんに連絡し、口座から修理費用を出してほしいと頼みました。
しかし、健太さんは言葉を濁します。「定期預金の解約手続きに時間がかかる」と引き延ばそうとしました。不審に思った昭子さんが追及を重ねると、数日後の夜、健太さんが昭子さんの自宅を訪れました。
健太さんはダイニングテーブルに通帳を叩きつけると、こう言い放ちました。
「もう一銭もないよ! 俺だっていっぱいいっぱいなんだよ! 警察でもなんでも突き出せばいい!」
昭子さんが通帳を開くと、かつて1,800万円あったはずの残高は、わずか「120,450円」と記されていました。
「頭が真っ白になりました。『お前がそんなことをするなんて』と声を絞り出すのが精一杯でした。息子は『俺を追い詰めたのはそっちだ』と吐き捨て、そのまま出ていきました」
見事なまでの逆ギレっぷりをかました健太さんに、昭子さんは茫然とするしかなかったといいます。
内閣府『高齢者の生活と意識に関する国際比較調査(第10回)』によると、日本の80歳以上の高齢者で健康上の理由により「自分で預貯金の出し入れができない」と答えた人は20.4%に上り、約5人に1人が管理に不自由を抱えています。また、同居家族以外に日常生活のちょっとした困りごとを頼れる相手として「別居の家族・親族」を挙げた人の割合は61.2%と最多となっています。
身体機能の低下に伴い、やむを得ず別居する子どもを頼らざるを得ない状況は、多くの高齢単身世帯が直面する現実です。しかし、絶対的な信頼を寄せる親族だからこそ、金銭管理を完全に委ねることが、予期せぬ身内間のトラブルを招くことがあるのです。
昭子さんは弁護士に相談したものの、健太さん自身にも多額の個人負債があり、全額の回収は不可能という決定が下されました。親子の交流は完全に断絶。昭子さんは長年暮らした自宅を売却し、その売却益を元手に安価な高齢者向け施設へ転居することにしたといいます。