(※写真はイメージです/PIXTA)
パンパンの冷凍庫から出てきたのは…
7月初旬、弘志さんは冷凍庫の扉が閉まりにくくなっていることに気づきました。中には半年前に買った冷凍うどん、特売でまとめ買いした肉、ポイント還元目的で購入したアイスクリームが詰め込まれていました。賞味期限が切れた食品も次々と見つかります。
「これ霜だらけだけど……いつ買ったんだ?」
「ポイント20倍の日だったから……」
美代子さんの声は小さくなりました。賞味期限の長い冷凍食品でありながら、期限を超えてしまっていたのです。弘志さんが家計簿を確認すると、現金の残高は昨年の同じ時期より15万円も少なくなっていました。銀行口座からは、毎月5万円前後がキャッシュレス決済のチャージとして引き出されていたのです。
「節約しているつもりで、前より使っている」
7月のある日、弘志さんは居間に積まれたトイレットペーパーを数えました。未開封が14パック。夫婦2人なら、半年以上は買い足す必要がない量です。
「もうポイントの通知、切ってくれないか」
美代子さんはしばらく黙っていましたが、やがてスマホを開き、ドラッグストアのアプリ通知をオフにしました。その後、夫婦は以下のような買い物のルールを決めました。
・在庫が1つになってから補充する
・ポイント還元より、月の予算を優先する
・ポイントは貯め込まず、翌月の支払いに使う
すぐに家計が改善したわけではありません。押し入れにはまだ大量の日用品が残っており、ポイントも8,000ポイント以上残ったままです。それでも、7月の買い物回数は半分以下になりました。
厚生労働省『2025年(令和7年)国民生活基礎調査』によると、日々の生活について「苦しい(大変苦しい・やや苦しいの合計)」と回答した高齢者世帯の割合は52.1%(大変苦しい21.0%、やや苦しい31.1%)と半数を超えています。限られた年金収入の中で物価高に直面し、多くの高齢者が家計に厳しさを感じている実態がうかがえます。
将来への不安から、美代子さんのように少しでも生活を防衛しようと「ポイ活」に熱中する心理は理解できるところです。しかし、ポイントの獲得自体が目的化し、不要なものまで購入して支出が増えてしまっては本末転倒。「必要なものだけを予算内で買う」という買い物の基本に立ち返ることが重要です。