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帰省の新しい形を共に考える
続いて智子さんは、こんな提案をしてきました。
「お盆はやめて、9月や10月のほうがいいんじゃない? そのほうが暑さも少し落ち着くし、新幹線も取りやすいでしょう」
「ちょうど中間地点くらいのところに、みんなで旅行に行くというのもいいわね。現地集合、現地解散みたいな」
「そうね、たまには私が東京に行くのもいいわね。ホテルは別にとるから」
美咲さんが「そんなに気を遣わなくても、ここ(野村さん家族の家)に泊まれば……」と返すと、智子さんは「お互い気を遣うし、そのほうが楽じゃない?」と笑います。
達也さんは智子さんの言葉に少し驚いたといいます。
「お盆は帰省するのが当たり前、義務くらいのものだと思っていました。しかし、ちゃんと話してみると、親側の事情もあって、お互い、無理をしていたことに気づくことができました」
智子さんは続けます。
「子ども(孫)たちも、あと数年したら部活や友だちの予定が優先になるでしょう。中学生や高校生になったら、一緒に外に出てくれなくなるわよ。今のうちに楽しい時間を共有しておかないと。お互い無理をしていたら、もったいないわ」
その気持ちは、達也さんにも美咲さんにもよく分かります。だからこそ、「毎年の習慣」で決めていた帰省を見直すべきだと思ったといいます。
国立社会保障・人口問題研究所『第7回全国家庭動向調査』によると、遠方に住む「結婚している息子(有配偶子・男性)」と親(母親)との会話頻度は、「月に1〜2回」と「年に数回」を合わせた割合が74.5〜88.6%に達し、日常的な交流は限られているのが実態です。
野村さん家族のように、年に数回しかない貴重なコミュニケーションの機会だからこそ、形式的な「お盆の帰省」という義務感にとらわれず、時期をずらしたり中間地点で集合したりと、お互いの体力や経済的負担を減らして無理なく充実した時間を過ごす選択は、現代の親子関係における合理的で新しい交流の形といえます。
いま、野村家では智子さんとともに秋の旅行の計画を立てているといいます。