楽しみにしていた孫の帰省。「じいちゃんの家には行きたくない」という一言は大きなショックです。しかしその拒否の裏には、単なるワガママにとどまらない「現代の帰省事情」と世代間のギャップが隠れていました。あるご夫婦のエピソードを通し、これからの家族の付き合い方を考えます。
「じいちゃんの家には行きたくない!」年金月15万円・60代夫婦の困惑。7歳孫が恒例の帰省を拒否した「まさかの理由」 ※写真はイメージです/PIXTA

孫世代「どこにいてもつながる」が当たり前

総務省『令和7年 通信利用動向調査報告書(世帯編)』を見ると、世代間のデジタル格差は利用目的の違いに顕著に表れています。同調査によれば、陽斗くんと同世代の6〜12歳のインターネット利用目的は「動画投稿・共有サイトの利用」が79.7%でトップとなり、「オンラインゲームの利用」も47.5%に上ります。

 

一方、健一さん夫婦と同世代である60〜69歳の利用目的は「電子メールの送受信」が82.4%と最も高く、娯楽よりも連絡や検索手段としての利用が中心です。動画やゲームを通じて日常的に友だちとつながる子ども世代にとって、快適な通信環境は不可欠な遊びのインフラであり、「あれば便利な道具」と捉える高齢層との間に大きな認識のズレが生じていることがデータからも読み取れます。

 

健一さん夫婦にとっても、インターネットは「あれば便利」というものでした。しかし陽斗くんにとっては、友だちと会話したり、一緒に遊んだりと生活の一部だったのです。

 

「自然の中で遊べば十分楽しいと思っていました。私たちが子どもの頃は、そうでしたから」

 

健一さんはそう話します。娘からは、「今の子どもにとっては、オンラインで友だちとつながれることが当たり前なんだよ」と説明されました。夫婦はそこで初めて、自分たちの感覚が「昔の基準」のままだったことに気づいたといいます。

 

夫婦は通信環境を見直し、光回線へ変更しました。開通した日、陽斗くんからビデオ通話がかかってきました。

 

「じいちゃん、速くなった?」

 

今年の夏休み、陽斗くんは予定通り帰省することになったといいます。