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元交際相手「その家で結婚は無理」
結婚を考えたことがないわけではありません。
「30代のころ、結婚を考えた相手がいました」
今と変わらず、家賃3万8,000円のアパートに住んでいました。収入は今よりも少ないですが、それでも同年代と比べると、高水準という自負がありました。当初、家賃を抑えていることに対して、好意的だったと思います。
「浪費癖がある人より、結婚向きと思ったのではないでしょうか」
しかし、結婚話が徐々に具体化していくなか、女性には「このようなところ(家賃3.8万円、風呂なしのアパート)で結婚生活ということになるのではないか――」という不安が大きくなります。
「ごめん。このような家には住めない」
「年収がそんなにあるのに、どうしてこんな生活を続けるの? なんだか怖い」
結局、その彼女との結婚話は立ち消えとなり今日に至ります。
「価値観が違ったのでしょう。仕方がありません」
周囲からは「マンションを買えば?」「その収入ならタワマンでしょう」などと勧められることも多いといいます。しかし「家は住む場所。今は仕事に忙しく、家を空けている時間のほうが長いのに、家にお金をかける意味がわからない」と、聞く耳を持ちません。
現在の資産形成は順調です。
・現金:4,200万円
・投資信託:4,800万円
・株式:1,300万円
・退職金見込み:約2,000万円
65歳時点では金融資産1億7,000万円程度を見込んでいます。数字だけ見れば、老後資金への不安は小さいように映ります。しかし、別の悩みがあります。
80代の母親は地方で一人暮らしを続けています。実家は築45年。今後は介護や相続も避けられません。一方、関西で暮らす兄とは、10年以上、話らしい話はしていないといいます。親の今後のことを考えたら、介護のこと、墓のこと、実家のこと――色々と話しておくべきですが、兄は兄で大変でそれどころではないようです。
「子どもが3人いて、やはり大変らしいですよ。3人とも大学生なので」
最近は、資産運用は後回し。実家へ帰る回数を増やしています。
「何か起きてから対応していては面倒なので。今のうちにできることはしておこうと思っています」
国立社会保障・人口問題研究所『第7回全国家庭動向調査』によると、単身男性の12.6%に「介護の必要な親」がいます。また同研究所『第9回世帯動態調査』によると、介助・介護が必要な高齢女性の25.3%が「単独世帯」で暮らしており、さらに単独世帯の要介護高齢者のうち、最も近くに住む子どもが「他の都道府県」にいるケースは14.4%に上ります。
工藤さんのように、自身の経済的な自立や資産形成を順調に進めていても、遠方に住む高齢の親のサポートや実家の問題に直面し、遠距離からの対応を迫られるケースは、高齢化と単身世帯の増加が進む現代日本において、決して珍しくない実態を反映しているといえるでしょう。