高収入だからと、華やかな生活を送るのが正解とは限りません。現代では、あえて固定費を極限まで抑え、独自の価値観で豊かさを定義するケースも。ある男性の驚きのライフスタイルから、本当の「経済的自立」や人生の優先順位について考えます。
「四畳半で何が悪い」〈年収1,200万円〉48歳独身男性、大都会・東京に残る〈家賃3万円台〉の激安アパート、奇跡のような暮らし ※写真はイメージです/PIXTA

元交際相手「その家で結婚は無理」

結婚を考えたことがないわけではありません。

 

「30代のころ、結婚を考えた相手がいました」

 

今と変わらず、家賃3万8,000円のアパートに住んでいました。収入は今よりも少ないですが、それでも同年代と比べると、高水準という自負がありました。当初、家賃を抑えていることに対して、好意的だったと思います。

 

「浪費癖がある人より、結婚向きと思ったのではないでしょうか」

 

しかし、結婚話が徐々に具体化していくなか、女性には「このようなところ(家賃3.8万円、風呂なしのアパート)で結婚生活ということになるのではないか――」という不安が大きくなります。

 

「ごめん。このような家には住めない」

「年収がそんなにあるのに、どうしてこんな生活を続けるの? なんだか怖い」

 

結局、その彼女との結婚話は立ち消えとなり今日に至ります。

 

「価値観が違ったのでしょう。仕方がありません」

 

周囲からは「マンションを買えば?」「その収入ならタワマンでしょう」などと勧められることも多いといいます。しかし「家は住む場所。今は仕事に忙しく、家を空けている時間のほうが長いのに、家にお金をかける意味がわからない」と、聞く耳を持ちません。

 

現在の資産形成は順調です。

 

・現金:4,200万円

・投資信託:4,800万円

・株式:1,300万円

・退職金見込み:約2,000万円

 

65歳時点では金融資産1億7,000万円程度を見込んでいます。数字だけ見れば、老後資金への不安は小さいように映ります。しかし、別の悩みがあります。

 

80代の母親は地方で一人暮らしを続けています。実家は築45年。今後は介護や相続も避けられません。一方、関西で暮らす兄とは、10年以上、話らしい話はしていないといいます。親の今後のことを考えたら、介護のこと、墓のこと、実家のこと――色々と話しておくべきですが、兄は兄で大変でそれどころではないようです。

 

「子どもが3人いて、やはり大変らしいですよ。3人とも大学生なので」

 

最近は、資産運用は後回し。実家へ帰る回数を増やしています。

 

「何か起きてから対応していては面倒なので。今のうちにできることはしておこうと思っています」

 

国立社会保障・人口問題研究所『第7回全国家庭動向調査』によると、単身男性の12.6%に「介護の必要な親」がいます。また同研究所『第9回世帯動態調査』によると、介助・介護が必要な高齢女性の25.3%が「単独世帯」で暮らしており、さらに単独世帯の要介護高齢者のうち、最も近くに住む子どもが「他の都道府県」にいるケースは14.4%に上ります。

 

工藤さんのように、自身の経済的な自立や資産形成を順調に進めていても、遠方に住む高齢の親のサポートや実家の問題に直面し、遠距離からの対応を迫られるケースは、高齢化と単身世帯の増加が進む現代日本において、決して珍しくない実態を反映しているといえるでしょう。