老後の不安に備えて、ひたすら倹約と貯蓄に励む人は少なくありません。しかし、目標額を達成し、いざセカンドライフを迎えたとき、新たな悩みに直面するケースも。本記事では、FP事務所MoneySmith代表の吉野裕一氏が、吉田幸助さん(仮名)の事例とともにお金の「貯め方」以上に重要な「使い方」について解説します。※個人の特定を避けるため、事例の一部を改変しています。
お金、こんなに持っていても意味なかったな…通帳残高1億円の66歳男性。真夏に死の淵で激変した人生観。1年後、再会した元同僚が「振り幅」に驚愕したワケ【FPの助言】 (※写真はイメージです/PIXTA)

FPからの提案と、1年後の驚くべき

吉田さんからこれまでの経緯やご心境を詳しくお聞きしたうえで、筆者はまず「シルバー人材センターへの登録」を提案しました。当時の吉田さんは、社会や人との関わりがほとんどない状態でした。「お金を稼ぐため」ではなく、「人と接するため」に、週3日ほどのんびり働いてみてはとお話ししたところ、吉田さんも納得されました。

 

同時に、今後のお金の使い方に安心感を持ってもらうため、キャッシュフロー表を作成しました。「もし年間300万円ずつ取り崩していったら、何歳のときに資産がなくなるのか」を可視化したのです。実際には、吉田さんは年間約200万円の年金を受け取っているため、300万円も取り崩す事態にはならないでしょう。しかし、将来に漠然と抱えている不安は、具体的な数字や表でシミュレーションを行うことで払拭できます。視覚的に「これだけ使っても大丈夫だ」と理解することで、必要以上の節約をしなくなるケースは多いです。

 

アドバイス後、吉田さんはすぐにシルバー人材センターで働きはじめました。それと並行して、趣味を見つけるべく、さまざまな教室を見学して回ったそうです。

 

そのなかで特に気に入ったのが、絵画教室と料理教室でした。いまでは、シルバー人材センターで知り合った仲間とたまにランチへ行ったり、趣味の教室で出会った人を自宅に招いたりしていると、嬉しそうに報告してくれました。

 

熱中症で倒れた際、お見舞いに来てくれた元同僚と1年ぶりに再会したときのこと。会社員時代は真面目で口数が少なかった吉田さんが、明るく社交的になっている姿を見て、元同僚は「その振り幅に驚きを隠せなかった」と笑っていたそうです。

 

〈参考〉

厚生労働省:令和7年版厚生労働白書「図1-3-4 50歳児の未婚率の推移」

https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/25/backdata/01-01-03-04.html

総務省消防庁:令和7年(5月~9月)の熱中症による救急搬送状況

https://www.fdma.go.jp/disaster/heatstroke/items/r7/heatstroke_nenpou_r7.pdf

 

 

吉野 裕一

FP事務所MoneySmith

代表