(※写真はイメージです/PIXTA)
FPからの提案と、1年後の驚くべき
吉田さんからこれまでの経緯やご心境を詳しくお聞きしたうえで、筆者はまず「シルバー人材センターへの登録」を提案しました。当時の吉田さんは、社会や人との関わりがほとんどない状態でした。「お金を稼ぐため」ではなく、「人と接するため」に、週3日ほどのんびり働いてみてはとお話ししたところ、吉田さんも納得されました。
同時に、今後のお金の使い方に安心感を持ってもらうため、キャッシュフロー表を作成しました。「もし年間300万円ずつ取り崩していったら、何歳のときに資産がなくなるのか」を可視化したのです。実際には、吉田さんは年間約200万円の年金を受け取っているため、300万円も取り崩す事態にはならないでしょう。しかし、将来に漠然と抱えている不安は、具体的な数字や表でシミュレーションを行うことで払拭できます。視覚的に「これだけ使っても大丈夫だ」と理解することで、必要以上の節約をしなくなるケースは多いです。
アドバイス後、吉田さんはすぐにシルバー人材センターで働きはじめました。それと並行して、趣味を見つけるべく、さまざまな教室を見学して回ったそうです。
そのなかで特に気に入ったのが、絵画教室と料理教室でした。いまでは、シルバー人材センターで知り合った仲間とたまにランチへ行ったり、趣味の教室で出会った人を自宅に招いたりしていると、嬉しそうに報告してくれました。
熱中症で倒れた際、お見舞いに来てくれた元同僚と1年ぶりに再会したときのこと。会社員時代は真面目で口数が少なかった吉田さんが、明るく社交的になっている姿を見て、元同僚は「その振り幅に驚きを隠せなかった」と笑っていたそうです。
〈参考〉
厚生労働省:令和7年版厚生労働白書「図1-3-4 50歳児の未婚率の推移」
https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/25/backdata/01-01-03-04.html
総務省消防庁:令和7年(5月~9月)の熱中症による救急搬送状況
https://www.fdma.go.jp/disaster/heatstroke/items/r7/heatstroke_nenpou_r7.pdf
吉野 裕一
FP事務所MoneySmith
代表