内閣府の「高齢者の経済生活に関する調査」によれば、親と同居する高齢者の49.8%が「子や孫の生活費を負担している」と回答しました。十分な老後資金がないまま子の生活を支え続ければ、将来介護や医療費が必要になった際に老後資金がショートし、「親子共倒れ」に陥る可能性も……。アルバイト生活を続ける39歳の息子から「ずっと実家にいる」と宣言された66歳父親の事例を通じて、親子の同居に潜むリスクをみていきましょう。
「もう養いきれない…」貯金1,200万円・66歳父が凍りついた、39歳息子の〈実家永住宣言〉…年金暮らし直前、「親子共倒れ」の恐怖から下した決断 (※写真はイメージです/PIXTA)

約半数が子どもの生活費を負担…データが示す「親子共倒れ」リスク

近年、成人した子どもが親元を離れず、高齢となった親がその生活を経済的に支え続けるケースが社会問題となっています。

 

内閣府の「令和6年度 高齢者の経済生活に関する調査」によると、高齢者の25.2%が「子や孫の生活費を負担している(ほとんど負担している+一部を負担している)」と回答しています。さらに、「子と同居している高齢者」に限ると、その割合は49.8%と約半数にまで増えます。

 

また、内閣府の『令和7年版 高齢社会白書』では、医療・介護の複合ニーズが高まる85歳以上の人口が増加を続け、2060年には約1,170万人に達する見込みであることが指摘されています。誰もが長生きする時代において、将来の医療費や介護費用に備えた蓄えは不可欠です。

 

もし十分な金融資産がないまま子どもの生活費を負担し続ければ、親自身に介護が必要になった瞬間に資金がショートし、適切なサービスが受けられずに「親子共倒れ」となるリスクが高まるのです。

 

これから紹介するのは、老後資金1,200万円という決して潤沢ではない経済状況のなか、アルバイト生活の39歳息子に同居の継続を宣言され、老後破産の恐怖を覚えた66歳父親の事例です。

「親だから…」貯金1,200万円・66歳父、“生活費を入れない”39歳息子と二人暮らし

ヒロシさん(仮名・66歳)は数年前に妻を病気で亡くして以来、長男・トモキさん(仮名・39歳)と二人暮らしを続けてきました。

 

中堅メーカーの事務職として働いてきたヒロシさん。65歳で定年を迎えたあとも再雇用制度を利用して働いていますが、年収は約400万円に減少しました。

 

一方のトモキさんは、数年前に会社を退職して以降、非正規の仕事を転々としており現在はアルバイト。家計はヒロシさんがほぼすべて負担している状態で、トモキさんから生活費が入れられることは一切ありませんでした。

 

「最初は、次の仕事が決まるまでという話だったんです。でも、親だから放り出すようなことはしたくなかった」

 

しかし、家に引きこもりがちなトモキさんにかかる生活費は、想像以上に家計の負担となっていたのです。毎週のように頼むデリバリー代を含めた食費、1日中つけっぱなしのエアコンやPCによる光熱費、さらにはスマホの通信費までヒロシさんが支払い、息子一人にかかる出費は月に10万円以上に上りました。

 

ヒロシさんは66歳を迎え、年金生活が現実味を帯び始めます。退職金や貯蓄を合わせても、老後資金は決して潤沢ではありません。現在の貯蓄は約1,200万円。住宅ローンは完済していますが、今後の医療費や介護費などを考えると不安は大きかったといいます。

 

内閣府の「令和6年度 高齢者の経済生活に関する調査」によると、高齢者が「今後の生活のために必要だと思う金融資産額」の平均は2,648万円にのぼることがわかっています。ヒロシさんの1,200万円という蓄えは、同世代が安心できる平均額の半分にも満たない状況です。