「マイホームを持ってこそ一人前」という世間の常識に背を向け、あえて築古アパートに住み続ける48歳独身男性。十分な資産がありながらも世間体にとらわれない選択に対し、周囲からは冷ややかな声も上がります。それでも揺るがない理由と、葛藤の末に見出された驚きの「境地」とは。男性の本音から、住まいの考え方についてみていきます。
「高い金を払ってまで“家を買う”意味がわからない」…〈年収650万円・金融資産8,000万円〉48歳独身男性、〈築32年・家賃6万円〉の木造アパートでたどり着いた境地 ※写真はイメージです/PIXTA

友人「冴えないおじさんにしか見えないよな」と言われても

ある日、大学時代の友人4人で食事をした際も、話題は住宅価格の高騰でした。都内で8,000万円のマンションを購入した友人は苦笑いしながら言いました。

 

「ローンがあと30年以上残ってる。正直、会社辞められないよ」

 

別の友人も「転勤も断れない。収入が減るのが一番怖い」と続けます。そのような会話を長谷川さんは黙って聞いていました。そして「俺は家賃6万円だから、会社を辞めようと思えば辞められる」と言うと、その場は一瞬静まり返り、誰も反論しませんでした。

 

ただ、帰り際、友人の一人が冗談半分で口にした言葉だけは忘れられないといいます。

 

「でも、お前って独身の冴えないおじさんにしか見えないよな」

 

その瞬間だけは、少し胸に引っかかったそうです。

 

「確かに、古いアパートに住んで、車にもブランド品にも興味がなく、ただお金はある……冴えない独身のおじさんの典型なんでしょうね」

 

国立社会保障・人口問題研究所の『第16回出生動向基本調査』によると、独身生活の最大の利点として「行動や生き方が自由」を挙げる未婚男性は70.6%に上り、高い水準を維持しています。また、「家族を養う責任がなく、気楽」を利点とする声も増加傾向にあります。

 

さらに、生活スタイルにおいて「一人の生活を続けても寂しくないと思う」と答える未婚男性は56.7%に達し、過半数を占めています。長谷川さんのように、持ち家やブランド品といった世間体や旧来の価値観に縛られず、経済的な身軽さと精神的な自由を優先する生き方は、現代 of 独身者のリアルな価値観を色濃く反映しているといえるでしょう。

 

「日々の生活やローンの返済でいっぱいいっぱいになっている友人たちをみると、家を買わないほうが、結婚しないほうが、幸せなんじゃないかなと思ってしまうんですよね。将来にわたって、何の不安もない――そういう状況が幸せなんです」