(※写真はイメージです/PIXTA)
毎日生地をこねて出汁をとる…「うどん屋経営」の苦労から見えた〈エヌビディア〉の強み
僕の資産を大きく押し上げてくれた主役の一つが「エヌビディア」です。
エヌビディアは、GPU(画像処理半導体)を作っている会社で、もともとはゲーム好きの間で有名な企業でした。しかし、もはやエヌビディアの影響はゲームにとどまりません。今まさに世界に広まっているAI(人工知能)の膨大な計算学習には、彼らが作るGPUが絶対に欠かせないからです。
「これからAIの時代が本格的に来たら、圧倒的シェアを持つエヌビディアは爆上がりするはずだ」
これが、僕がエヌビディアに抱いた大きな「ストーリー」でした。
エヌビディアに惚れ込んだ最大の理由はもう一つあります。彼らのビジネスモデルに、僕のうどん屋時代の苦労と直結する「ある圧倒的な強み」が隠されていたからです。それは「ファブレス」です。
ファブレスとは、「自社で工場(ファブ)を持たない(レス)」企業のこと。製品の設計や開発という「頭脳」の部分だけを自社で行い、実際の「製造」は外部の工場に委託するビジネスモデルです。この言葉と仕組みを知ったとき、僕は「あっ……!」と声が出ました。
「山下本気うどん」の立ち上げから数年間、僕は毎日のように店に立って自分でうどんの生地をこねて出汁をとっていました。機材のメンテナンス、高額な修理費、冷蔵庫の温度管理、各材料の発注、出汁や具材の仕込み……これらを全部、自分の手でやっていました。だからこそ、「自前で設備や工場を持つこと」のしんどさが骨身に染みていました。
生地を延ばす機械、生地を切る麺切り機、うどんをゆでる特大の釜、天ぷらを揚げるフライヤー、業務用冷蔵庫などの厨房機器を揃えるだけで数百万円。しかも機械は必ず壊れます。冷蔵庫が止まる、エアコンが効かなくなる。そのたびに高い修理費が飛んでいく。
そして何より恐ろしいのが、「売上がゼロの日でも、家賃などの固定費は確実にかかる」ということです。
お客さんが一人も来なくても、家賃、人件費、機材のリース代は容赦なく引かれていきます。うどん屋の経営者として10年間、この「固定費の重圧」と戦い続けてきたからこそ、ファブレスという経営方針の凄まじい可能性を一瞬で理解できたんです。
うどん屋からすれば「バグ」レベル…驚異の〈利益率60%〉を生むカラクリ
エヌビディアはAI用の半導体チップで世界を席巻していますが、なんと自社工場を一つも持っていません。「こういうチップを作りたい」という高度な設計図(頭脳)だけを描き、実際の製造は台湾のTSMCなど、外部の巨大工場に丸投げしています。
これをうどん屋で例えるなら、「門外不出の出汁や、完璧な小麦粉のブレンド配合」のレシピを考えて、実際の製麺や出汁作りは、他人に任せているようなものです。
工場を持たないから、何百億円という重たい固定費がない。機械が壊れる心配もない。その分、すべての資金とエネルギーを「次の最強のレシピ(設計)」を開発することだけに全集中できる。そう考えると、エヌビディアがすごく合理的な経営をしていることが理解できます。
実際、エヌビディアの営業利益率は60%を超えることもあります。売上の半分以上が手元に残るなんて、利益率数%の世界でうどん屋経営をしていた僕からすれば「そんなバグみたいな数字、あり得るんか!?」と腰を抜かすレベルです。
でも、「製麺機を買わなくていい会社は、そりゃ強いよな」とイメージした途端、スッと腑に落ちました。投資の専門家が語る「ファブレスモデルの優位性」という言葉をうどん屋に繫げると頭に入ってきました。

