(※写真はイメージです/PIXTA)
老人ホームへの入居計画と、100万円を切った通帳残高
おめでたい知らせに万歳三唱したい気持ちの一方で、マサノリさん夫婦は少し動揺しました。
実はちょうどそのころ、妻のカオルさんの足腰が急速に弱くなっており、自宅での二人暮らしに限界を感じはじめていたのです。夫婦は「娘たちに介護の手間で迷惑をかけたくない」と考え、老人ホームへ二人で入居するための情報収集を本格化させていた矢先でした。
入居一時金や初期費用にいくらかかるのか、現在の通帳残高を確認したマサノリさんは、目の前が暗くなるのを覚えました。
連続した孫たちの結婚祝いや式への出席費用、そして今回急遽決まった長女の息子への「平等なお祝い金」を算出した結果、かつて潤沢だった夫婦の貯金残高は、ついに100万円を割り込んでいたのです。
「溢れる愛情」と「自分たちの安心」の狭間で
これでは、老人ホームのまとまった入居費用を支払うことは不可能です。月々24万円の年金があるため、日々の食事に困るような「その日の困窮」はありませんが、民間施設への入所という老後の安全網は、完全に手の届かないものになってしまいました。
長女の息子にだけ「もうお金がないからお祝いは少額で」とは、プライドにかけても、これまでの信条にかけても言えませんでした。結果として、4人の孫全員に平等な愛情を注ぎきったものの、その代償は自分たちの終の棲家を失うという、重い現実となって跳ね返ってきたのです。
「孫たちがみんな幸せになってくれたのは、これ以上ない喜びです。でも、まさか全員の結婚がこの数年に重なるなんて思いもしなかった。子どもたちの未来を祝ってやれた誇らしさと、これからの自分たちへの不安で、毎晩複雑な気持ちで通帳を眺めています」そう静かに語るマサノリさん。
「ひ孫を抱けるかもしれないという期待もありますが、またそうなるとお祝いをどうしよう、と。純粋な祝う気持ちだけを持つことができない自分に悲しい思いもあります」とカオルさんもため息をつきます。
ますます長寿化が進む現代において、限られた老後資金を「家族への援助」と「自分たちの老後防衛」にどう配分すべきなのか。老後資金は、介護や医療費、住宅費などの将来必ず掛かってくる出費をあらかじめよけておき、自分たちの思いと現実的なお金とのバランスを取ったプランをたてておくことが重要です。
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