(※写真はイメージです/PIXTA)
万全のはずだった運用の決定的な敗因
ファイナンシャルプランナーの視点から、藤田さんの事例を分析してみましょう。 厳しい現実のようですが、彼の決定的な敗因は、「リスクの質の誤解」と「リスク許容度の見誤り」という、投資における2つの根本的な落とし穴に集約されます。
1.「銘柄をわけること」は分散投資ではない
藤田さんは4つのファンドにわけましたが、中身は「米国のハイテク」「レバレッジ」「新興国」という、いずれも「世界が好景気のときだけ爆発的に上がり、不景気の兆しで真っ先に暴落する」という同じリスクの性質を持った商品ばかりでした。これは分散投資ではなく、単に「同じリスクを4つの異なる袋に小分けしただけ」といえます。
本当の分散投資とは、株式が下がったときに上がる傾向のある「債券」を組み込んだり、値動きがマイルドな「全世界インデックス」をコア(中核)に据えたりして、「ポートフォリオ全体のクッション」を作ることです。盤石と思われたその中身は、安全とは程遠いリスクの塊だったのです。
2.40代前半というライフステージ
40代前半は、ネット上の「まだ若いからレバレッジをかけてリスクを取れる」という極端な言説を、つい真に受けてしまいがちです。しかし、そうした極論は、何十年も先に使う「老後資金(最悪、なくなっても直近の生活に響かないお金)」を念頭に置いたものです。
藤田さんのように、数年後に「子どもの中学・高校・大学の学費」という明確な使い道が決まっている資金を、値動きの荒いハイリスク商品で運用するのは、投資のセオリーから大きく逸脱した選択といわざるを得ません。使用時期に満期を合わせた定期預金、個人向け国債、高格付けの社債などに預け、預貯金より高い利回りを得る方法が選択肢として適していたでしょう。
転ばぬ先の杖として
藤田さんのような悲劇を避けるため、40代のビジネスパーソンに強く伝えたいことがあります。もし市場が急落したとき、パートナーにスマホの資産画面を隠したくなるようなら、その投資はすでに心のキャパシティを超えているサインです。
資産運用で重要なのは、数字の高さではなく、『どんなに暴落した夜でも、いつもどおり家族の隣で、ぐっすりと眠れるかどうか』。新NISAという制度は、焦ってリスクを追うための道具ではなく、大切な家族の未来をじんわりと温めるために使いたいものです。
藤原 洋子
FP dream
代表FP