少子高齢化や核家族化が進む現代、葬儀を簡素に済ませる「家族葬」を選ぶ家庭が増えています。しかし、安価とされるイメージとは裏腹に、思わぬ高額請求に直面するトラブルが後を絶ちません。ある男性のケースを見ていきます。
家族葬なら「50万円」のはずが…52歳長男、思わず二度見した驚愕の請求額「何かの間違いでは?」 (※写真はイメージです/PIXTA)

打ち合わせのたびに膨らむ追加費用

ところが、その後に想定外の事態が起こります。担当者が火葬場を確認したところ、近隣の公営火葬場は予約が混み合っており、火葬できるのは4日後でした。基本プランに含まれていた安置料とドライアイス代は1日分のみだったため、残り3日分については追加費用が必要になります。さらに、当初はごく近い親族だけで見送る予定だったものの、父が長年住んでいた地域の知人や友人らから参列希望の連絡が相次ぎました。

 

担当者からは、

 

「現在の会場では手狭になる可能性があります」

「返礼品や会食の数も追加したほうがよいでしょう」

 

と提案されます。その都度見積額を確認していたつもりでしたが、打ち合わせのたびに項目が増え、最終的には祭壇の変更、会場使用料、飲食費、返礼品代、安置関連費用などが積み重なっていきました。すべての日程を終えた後、最終請求額は162万4,000円に達していました。

 

「家族葬なら50万円程度だと思っていたのに……」

 

納得のいかない修さんは、葬儀社に問い合わせました。

 

「50万円のプランだったはずではないですか」

 

担当者は契約時の見積書を示しながら説明します。

 

「50万円は基本プランの料金です。搬送距離超過分、追加安置料、ドライアイス代、会場使用料の変更、返礼品、会食費用などは別途となります。お打ち合わせの都度ご説明し、ご承諾をいただいております」

 

改めて書類を見返すと、確かに追加項目はその都度記載されていました。しかし、父を亡くした直後の混乱の中で、一つひとつの金額が最終的にいくらになるのかを十分に把握できていませんでした。

 

さらに菩提寺へのお布施や戒名料として20万円を支払った結果、葬儀関連費用の総額は180万円を超えました。

 

修さんは当時を振り返ります。

 

「葬儀は急に必要になるものなので、事前に調べる余裕がありませんでした。だからこそ、家族とあらかじめ話し合い、複数の葬儀社の料金体系を確認しておくべきだったと思います」

 

修さんのように、「家族葬だから安い」と思い込んで高額請求を受けるトラブルは後を絶ちません。国民生活センターには年間900件前後の葬儀関連相談が寄せられており、中でも「想定より高額だ」という料金に関する相談割合は、2019年度の33.2%から2025年度には52.6%へと過半数にまで増加しています。

 

死別直後は誰もが冷静な判断が困難になります。トラブルを防ぐためには生前から家族で希望を話し合い、いざという時も一人で決断せず親族など複数人で打ち合わせを行い、見積書の明細を必ず確認することが重要です。