生命保険文化センターの調査によれば、介護期間が約15年に及んだ場合、将来的に必要となる総費用は3,200万円を超えるというデータも存在します。「親の年金と実家」を“いつでも帰れる安全地帯”と思い込んでいると、ある日突然、その前提が崩れ去ることも少なくありません。月14万円の年金をアテに海外を放浪していたジョージさん(仮名・52歳)を待ち受けていた、取り返しのつかない結末とは。
「俺の家は?」年金月14万円・実家の母をアテに〈バックパッカー生活〉を続ける52歳長男…1年ぶりの帰国で「家は売った」と宣告され絶望 (※写真はイメージです/PIXTA)

俺の帰る家がない?…「世界を旅する自由な長男」に妹が告げた“衝撃のひと言”

「もしもし? 土産渡したいんだけど」

 

ジョージさん(仮名・52歳)は海外から帰国した直後、妹のサトミさん(仮名・48歳)に連絡し、都内のカフェで待ち合わせました。

 

ジョージさんは大学卒業後、中堅企業に就職して10年ほど真面目に働いていましたが、30代前半で突然退職。「一度きりの人生、世界を見て回る」と宣言し、これまでの貯金と単発のアルバイトで資金を稼いでは、安いチケットで海外を放浪するバックパッカー生活を始めました。

 

「久々の日本はやっぱりメシがうまいな。とりあえず実家でのんびりして、またバイト探すわ」

 

お金が尽きると実家に身を寄せ、月14万円の年金で暮らす母親(78歳)の世話になる日々。今回も、中南米を1年ほど巡って帰ってきたばかりです。

 

笑いながらコーヒーを飲むジョージさんに、サトミさんは冷ややかな視線を向け、思いもよらない宣告をしました。

 

「お兄ちゃん、帰る実家なんてもうないわよ」

「えっ、どういうこと?」

 

サトミさんによれば、1年前に母親が突然倒れ、一人暮らしが困難になったとのこと。サトミさんも自身の家庭があるため同居はできず、母親は手厚いサポートが受けられる介護施設へ入居することになりました。

 

しかし、施設の入居一時金や月額費用を年金だけで賄うのは不可能です。そこで、誰も住まなくなった実家を売却し、そのお金をすべて施設代に充てたというのです。