(※写真はイメージです/PIXTA)

人口減少基調にある日本。人口が集中する首都圏においても例外ではありません。そのようななか、今後、どこが投資エリアとして有望なのでしょうか。不動産投資の検討において重要な要素のひとつ「人口」に注目をして考察していきます。今回注目するのは相鉄本線「三ツ境」駅。

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3路線の都心直通と成熟した生活利便が導く「次世代の単身者需要」

横浜市瀬谷区の東部に位置する「三ツ境」駅。相鉄本線の主要駅であり、圧倒的な都心アクセスの良さと穏やかな住環境が共存するエリアです。2024年度の1日平均乗車人員は約5万1,000人。全27駅の中でも上位にランクインするこの数字が、街の活気を物語っています。かつては横浜のベッドタウンという印象が強かった「三ツ境」ですが、その利便性は劇的な進化を遂げました。2019年のJR直通線、そして2023年の東急直通線の開業。この二つの転機が、街の価値を塗り替えたのです。

 

現在では「横浜」駅まで特急で約15分。直通でアクセス可能な「新横浜」駅。さらには渋谷、新宿といった副都心エリア、目黒、大手町などのビジネス街へも、スムーズな接続で到達できるようになりました。叶うのは、職住近接のライフスタイル。横浜市内勤務者はもちろん、都内に通勤する単身者層からも、有力な居住エリアとして熱い視線が注がれています。

 

駅周辺の魅力は、高い利便性を支えるコンパクトな都市機能にあります。駅直結の商業施設「相鉄ライフ 三ツ境」には、スーパーや飲食店が充実。仕事帰りに必要なものがすべて揃う、無駄のない動線です。忙しい単身世帯にとって、これほど心強い環境はありません。駅周辺に集積する瀬谷区役所や公会堂、図書館。こうした行政サービスが身近にあることも、日々の暮らしをしっかりと支えてくれます。

 

駅前の喧騒を離れれば、広がるのは閑静な住宅街。そこには「三ツ境」の由来ともなった、豊かな自然が息づいています。四季折々の風景で住民の心を癒やす「二ツ橋公園」や「二ツ橋谷公園」。少し足を伸ばせば、武蔵野の面影を残す「瀬谷市民の森」の深い緑に触れることもできます。夜間は静寂に包まれる住宅街。オンとオフを明確に切り替えたい単身者にとって、理想的なリラックス空間といえるでしょう。

 

見逃せないのが、充実した医療体制です。駅周辺のクリニックに加え、地域を代表する高度医療機関「聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院」も至近。一人暮らしにおいて、万が一の際の備えがあることは、住まい選びの強力な安心材料となります。

 

交通の利便性は、鉄道のみならず道路網においても優れています。駅の北側を走る国道16号や、保土ヶ谷バイパスの「上川井インターチェンジ」。車を利用した横浜中心部や都内、湘南方面へのレジャーも快適です。近隣の瀬谷駅周辺で進行する国際園芸博覧会の開催や、テーマパーク構想。インフラ整備が進むにつれ、エリア全体のブランド力は今後ますます向上していくはずです。

 

鉄道ネットワークの進化がもたらした「都心への近さ」と、古くから大切にされてきた「豊かな自然」。この二つが絶妙なバランスで溶け合っているのが、「三ツ境」の魅力です。質の高い生活環境を求める単身層に選ばれ続ける、確かなポテンシャルを秘めています。

「三ツ境」駅周辺の不動産投資の可能性

では、「三ツ境」駅周辺の現況をデータから分析していきましょう。

 

2020年の国勢調査によると、駅が位置する横浜市瀬谷区の人口は12万2,623人です。横浜市内では比較的落ち着いた人口規模ですが、注目すべきはその「密度」と「世帯構成」の変化です。瀬谷区全体では世帯数が増加傾向にあり、特に単身世帯の割合が着実に伸びています。これは、かつてのファミリー層中心の街から、利便性を重視する単身層にも選ばれる街へと、需要のポートフォリオが変化していることを示唆しています。

 

人口構成を見ると、15歳以上65歳未満の生産年齢人口が全体の約6割を占めており、安定した労働力と賃貸需要のボリュームゾーンが形成されています(図表1)。また、瀬谷区の昼夜人口比率は83.6%となっており、住民の多くが横浜中心部や都内へ通勤・通学している「居住ニーズの強いエリア」であることがわかります。特に近年、相鉄線がJR・東急線と相互直通運転を開始したことで、新宿・渋谷・目黒といった都心主要駅へのアクセスが飛躍的に向上しました。これにより、以前までは検討土台に乗らなかった都心勤務の単身者層が、賃料相場を抑えつつ利便性を確保できるエリアとして「三ツ境」をターゲットに加える動きが出ています。

 

次に家賃相場について見ていきましょう。大手ポータルサイト3社で「三ツ境」駅周辺で扱う1K・ワンルームの家賃を調べたところ、ワンルームの平均家賃は5.8万円、1Kは6.1万円。これは、直通運転で繋がる東急目黒線沿線やJR山手線周辺の相場と比較すると、圧倒的なコストパフォーマンスを誇ります。厚生労働省の統計によると、若年層の平均月収に対して家賃を3分の1以下に抑えることは、生活の質を維持するうえで重要な指標となります。「三ツ境」は「都心へのアクセス」を確保しつつ、「ゆとりある生活費」を両立したいと考える単身層にとって、有力な選択肢になるでしょう。

 

将来的な展望についても、ポジティブな材料が揃っています。「三ツ境」駅を含む瀬谷区周辺は、2027年に開催される「国際園芸博覧会(GREEN×EXPO 2027)」の開催地、旧上瀬谷通信施設跡地に隣接しています。この広大な跡地では、博覧会後も大規模な公園整備やテーマパーク構想、さらには新たな交通システムの検討が進められており、地域全体の活性化と地価の底上げが期待されています。こうしたインフラの再整備は、賃貸市場においても資産価値の維持・向上に寄与する大きな要因となります。

 

旧上瀬谷通信施設跡地(2022年撮影)
旧上瀬谷通信施設跡地(2022年撮影)

 

不動産投資の観点から見ると、「三ツ境」駅周辺は「鉄道の広域ネットワーク化」という大転換期を経て、新たな需要の掘り起こしが進んでいるエリアです。特に、駅近で利便性の高い単身者向けアパートは、都心回帰層の受け皿として今後も底堅い稼働が見込まれます。人口減少社会においては「選ばれる駅」の見極めが重要ですが、交通網の進化と周辺再開発の恩恵をダイレクトに受ける「三ツ境」は、中長期的な安定収益を狙う上で非常にポテンシャルの高い、堅実な投資エリアといえるでしょう。