親心による、子や孫への金銭援助。善意から始めた支援がいつしか依存を生み、関係性を歪めてしまうことも。孫への金銭支援を断ったことで家族関係が変わってしまった70歳女性の事例から、家族の在り方を考えます。
「もう無理、ごめんね…」〈年金月12万円〉70歳女性、孫の進学支援を拒絶して知った「私はただのスポンサーだった」という残酷な真実 (※写真はイメージです/PIXTA)

家族の絆という幻想

事態が急転したのは、孫が私立高校へ進学することが決まり、長女から「入学金と制服代、教科書代などでまとまったお金が必要になった。30万円ほど融通してほしい」と電話で依頼されたときのこと。

 

「30万円というのは、さすがに高い。それに今よりも、値上げ、値上げと騒がれていたときで、日に日に生活が苦しくなってきていたんです。それで『30万円はさすがに無理、ごめんね』と断ったんです」

 

しかし、電話の向こうの長女から返ってきたのは、非常に低いトーンで、「ふーん、わかった」という言葉だけだったといいます。そのやり取り以降、それまで週に1、2度は電話連絡があり、さらに月に1度はお菓子を持参して遊びに来てくれた娘家族が、ピタリと来なくなりました。

 

「結局、私は娘や孫にとって、困ったときにお金を出すただのスポンサーでしかなかったんだと気づかされました。お金を出してくれるから、優しくできた。そうでなければ、そんな余裕はないのかもしれません」

 

内閣府『令和6年 高齢者の経済生活に関する調査』によると、高齢者がお金に困った際、61.7%が「家族・親族」を相談相手として頼りにするなど、依然として子世代とのつながりはセーフティネットとして機能しています。

 

しかし、現在の収入を「子や親族からの援助」に依存している高齢者はわずか4.6%にすぎない一方で、実に25.2%の高齢者が「子や孫の生活費を負担している」のが実態です。つまり、関係性が「経済的な依存」の上に成り立っている場合、それは「親が子に依存している」ケースよりも、「子が親の経済力(年金や貯蓄)に依存している」ケースの方がはるかに多いことを示唆しています。

 

高齢者の資金枯渇や要介護化などによって、この「子から親への経済的依存」が維持できなくなり支援が断たれた瞬間、共倒れになったり家族の絆が崩壊したりするリスクを孕んでいるといえます。

 

高橋さんは、変わってしまった娘家族との関係性についてこう結びます。

 

「寂しいですが、これで良かったのだと思います。無理して、お互いに共倒れになったら元も子もありません。特に用事がなければ連絡もない――これが自然な姿なのかもしれません」