「もし海外で病気やケガをしても、クレジットカードの付帯保険や、日本の公的医療保険(海外療養費制度)があるから大丈夫」――そう信じて疑わない人は少なくありません。確かに、日本には帰国後に医療費の一部が払い戻される優秀な救済策が存在します。しかし、ここには落とし穴があって……。リタイア記念にハワイ旅行へ行った夫婦の事例をみていきましょう。※人物名はすべて仮名です。
「公務員時代の貯えが、一瞬で消えた…」退職金+貯金計5,800万円を確保した65歳元公務員夫婦、1ヵ月豪華ハワイ旅行の帰国後、〈国際郵便〉で届いた衝撃の通知 (※写真はイメージです/PIXTA)

元公務員夫婦の「資産推移」

【夫婦の資産推移】

老後資金(5,800万円)ーハワイ旅行費用(330万円)ー自己負担医療費(960万円)

=4,510万円

 

1ヵ月のハワイ旅行をきっかけに、一瞬にして高級外車が丸ごと1台消え去るような打撃を受けることになったのです。

 

残された老後資金は4,510万円。まさかハワイ旅行の出費が、現役時代に培った貯蓄分を飲み込む額になるとは思ってもみませんでした。退職金分程度の老後資金は残っていますが、今後、夫婦のどちらかに本格的な介護が必要になったときや、自宅の大規模な修繕が必要になった際、少し前に思い描いていた「なんの心配もない、贅沢で自由なセカンドライフ」の設計図は、修正を余儀なくされました。

 

「まさか、たった1週間の入院で、人生をかけて働いた蓄えが消えてしまうなんて……」

 

サトミさんは夫の無事を安堵しつつも複雑な胸中。オサムさんは頭を抱えて言葉を失うしかありませんでした。

 

「自分たちには十分な貯えがある」という現役時代の成功体験こそが、時としてシニア世代のリスク管理を甘くさせます。世界の物価高と円安のスピードは、想定する常識を遥かに超えています。カードの付帯保険があるからと過信せず、海外旅行の際には必ず「治療費用無制限」の任意保険に加入しておくこと。こうしたリスク管理の欠如や、「知らなかった」では済まされない情報不足の代償は、あまりにも残酷な形で元公務員夫婦に突き付けたのでした。

 

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