(※写真はイメージです/PIXTA)
親戚一同、目が点となった理由
ある連休、都内の一軒家で、ひとつの家族の状況が露呈しました。
「親戚が集まる席に、あの子はいつものヨレヨレのパジャマ姿で現れたんです。挨拶もしないまま冷蔵庫からお茶だけ持って自室に消えていきました。その瞬間、親戚一同が凍りついたのが分かりました」
そう語るのは、都内在住の佐藤恵美子さん(74歳・仮名)。夫の佐藤清さん(76歳・仮名)、そして長男の佐藤大輔さん(52歳・仮名)との3人暮らしです。大輔さんは大学卒業後、いくつかの職を転々としましたが、30代前半で退職して以来、約20年間一度も働いていません。
佐藤さん夫婦の毎月の収入は、2人分の老齢基礎年金と老齢厚生年金を合わせて約28万円、手取りにすると25万円ほど。ここから、52歳になる大輔さんの食費や光熱費、毎日のタバコ代やスマートフォン代まですべてを工面してきました。
「『今月は厳しいから少し控えて』と言うと、自分の部屋に閉じこもって壁を叩くんです。それが怖くて、ついお小遣いを渡しています。いつか自分で気づいて働きに出てくれるはず、そう信じているうちに20年が経ってしまいました」
恵美子さんが振り返る対応は、結果として解決を先送りする状況を作っていました。
内閣府『こども・若者の意識と生活に関する調査(令和4年度)』によると、40歳から64歳までのひきこもり状態にある人は、全国に推計約61万人、出現率は2.02%。このうち、ひきこもり期間が「10年以上」と回答した割合が約半数を占めており、長期化・高年齢化が顕著となっています。佐藤さん一家が直面しているのは、この統計が示す典型的な状況です。