(※写真はイメージです/PIXTA)
「相続の本質」は手続きではない
昔の激動の時代を生き抜いた方々は、自分の苦労話や本心をあまり語りたがりません。「自分が我慢すればいい」「家族のためだから」と、心に深い傷や言いたいことを秘めたまま、今日まで生きてこられた方がたくさんいらっしゃいます。そのため、手元にある財産にその「傷」や「歴史」が絡みついている場合、過去を思い出す辛さから、相続の話自体を拒絶してしまうことも少なくありません。
しかし、清子さんのケースが教えてくれるように、ほんの少しだけでいいのです。周囲が「本音を話せる温かなタイミング」を作ってあげるだけで、長年ひとりで背負ってきた重い肩の荷が、すっと降りる瞬間が訪れます。心がほどければ、自ずと未来への手続きも動き出します。
相続対策とは、単に財産を計算し、法律に沿って手続きを機械的に処理することではありません。一見すると不合理に思えることであっても、気持ちを棚卸しして、家族それぞれの歴史のなかにある、目にみえない想いや「内に秘めた声」を丁寧に汲み上げること。それこそが、本当の意味での相続対策のスタートラインなのです。
このような温かな場面を一つでも多く増やしていくことが、これからの多世代社会において最も大切な使命なのではないかと、強く感じています。
森 拓哉
株式会社アイポス 繋ぐ相続サロン
代表取締役