(※写真はイメージです/PIXTA)
2,400万円あった退職金の溶解
元中堅メーカー勤務のジローさん(71歳)は、月額15万円の厚生年金を受け取りながら、穏やかな老後を送るはずでした。しかし、実家の2階からは、連日のように壁を叩く音と、荒んだ罵声が響いてきます。
「ちくしょう! またかよ! 金が足りねえ……!」
声の主は、同居する長男のヨウスケさん(仮名/47歳)。彼は、ジローさんが40年間身を粉にして働いて得た退職金のほとんどを、部屋に引きこもったままオリパガチャやギャンブルなどで溶かし続けていました。
ヨウスケさんは20代後半で勤め先を退職して以来、定職に就いていません。最初は「次の仕事を探すまでの繋ぎ」として、ジローさんの妻(18年前に他界)が月数万円の小遣いを渡していました。しかし、年齢を重ねるごとにヨウスケさんの金銭感覚は麻痺し、要求額はエスカレートしていきました。
「これが最後だから。一発逆転できる案件がある」「今月のカードの支払いを立て替えてくれないと、ブラックリストに載って自己破産するしかない」
脅しとも哀願ともとれる言葉に流され、ジローさんが差し出した額は、16年間で累計2,000万円を超えていました。65歳の定年時に2,400万円あったジローさんの退職金口座は、いまや100万円を切る寸前まで目減りしています。
親戚や近所からは「甘やかすからだ」「警察を呼んで家から叩き出せ」と何度も忠告されました。しかし、ジローさんには、息子をどうしても突き放せない理由がありました。