「もし数億円の資産があったら、会社なんて辞めて自由に暮らしたい」―そう考える人は少なくないでしょう。しかし、十分な資産を持ちながらも、あえて“普通の会社員”として働き続ける会田さん(46歳・仮名)。その背景にあるのは、幼少期に見てきた「働かずに家にいた父親」の存在でした。“隠れ億リーマン”の生き方から見えてきた、資産形成の先にある「本当の豊かさ」とは? CFPの伊藤寛子氏が解説します。
(※写真はイメージです/PIXTA)
「資産3億円あります。でも、会社員は辞めません」…今日も満員電車で通勤し、上司の小言に付き合う46歳男性。“隠れ億リーマン”の根底にある「働かない父」という反面教師【CFPが解説】
総額3億円を保有も、満員電車で通勤・会社員を辞めない46歳男性
都内の中堅メーカーの総務に携わる会田さん(46歳)は、一見、どこにでもいるごく普通の会社員です。役職はなく、職場では「出世欲のない、まじめで堅実な人」という印象を持たれています。
しかし、会田さんには周囲がけっして知らない一面がありました。実は、総額3億円の資産を保有する、いわゆる“隠れ億リーマン”なのです。
3億円のうち2億円は現預金・株式・投資信託など。他に都内の好立地・高利回り賃貸マンションなどの不動産の評価額が1億円分です。
資産運用には、運用益の範囲内で生活すれば元本を減らさずに暮らせるという「4%ルール」があります。会田さんの場合、保有する金融資産2億円を年4%で運用できれば、理論上は毎年800万円(税引前)の不労所得が手に入る計算です。
ここに不動産からの家賃収入なども加わるため、今すぐ会社を辞めても、一生平均的な生活に困ることはありません。しかし、それほどの資産を持ちながら、会田さんは会社を辞めるつもりはありません。
「毎日満員電車で通勤してますし、上司の小言も聞いて、地道に仕事をしています」
そう笑う会田さん。なぜ彼は、早期リタイア(FIRE)せず、あえて平社員として働き続けるのか――。
当然、運用状況は変動する可能性もあり「4%ルール」に確証はない、という理由もあります。しかし、それよりも深い理由に、子ども時代に見てきた“父親の姿”がありました。
