将来不安や銀行不信から、多額の現金を自宅で保管する「タンス預金」。手元に置く安心感の一方で、そこには盗難や火災、さらには想定外のリスクが潜んでいることも。ある親子のケースを通して、現代における資産管理のあり方をみていきます。
銀行なんて信用できるか!と言い張る〈年金月10万円〉84歳父が緊急入院。「お金は床下にあるから」と56歳娘が実家に直行したが…そこで目撃した「まさかの光景」に絶句 (※写真はイメージです/PIXTA)

タンス預金に潜む全損リスク

日本銀行『資金循環統計(2025年10~12月期)』によると、家計が保有する金融資産の残高は12月末時点で2,351兆円となり、そのうち、現金・預金の合計は1,139.9兆円となっています。

 

預金金利が低い状況下では、手元に現金を置くコストは低いと考えられがちですが、実際には「物理的な損壊」というリスクを孕んでいます。誤って紙幣を破ってしまった時や、汚損、損傷した紙幣は、日本銀行の本支店で新しい紙幣と交換できます。なお、交換の基準については日本銀行法施行規則第8条により、以下の通り定められています。

 

表裏の両面がある日本銀行券(紙幣)が、

・全体の2/3以上が残っている場合:額面全額

・全体の2/5以上2/3未満が残っている場合:額面の半額

・全体の2/5未満しか残っていない場合:交換できない

 

近年の住まいの高気密化に伴う結露の発生などは、紙幣の保管環境を悪化させる要因となります。銀行の破綻リスクを過度に恐れた結果、それよりも発生確率の高い「自然劣化」によって、額面の価値を大幅に減らしてしまうケースも少なくありません。

 

資産を守るための基本は、リスクを分散することにあります。現金を「物理的に隠す」という行為は、盗難や火災だけでなく、時間とともに進行する「腐食」の恐れもあります。資産を確実に次世代へ繋ぐためには、目に見える安心感に惑わされず、適切な管理下で保有することが不可欠といえます。