金融庁の調査によると現在のNISA口座数は2,825万を超え、資産形成は国民的なインフラとなりつつあります。そんななか、千葉県の実家から1時間半かけて都内のIT企業へ通勤するシュンタさん(仮名・35歳)の選択は合理的でした。一人暮らしで「貯金ゼロ」の友人から「自立していない」とマウントを取られても、彼が余裕の笑みを浮かべるのには確固たる理由があります。浮いた固定費をNISAに回し続け、同世代の平均を大きく凌駕する〈資産3,200万円〉を築いた「資産形成戦略」とは。
「俺は一人暮らしで自立してる」マウントを取る“貯金ゼロ”の友人に余裕の笑み。年収500万円・実家暮らし35歳男性、NISAで築いた〈資産3,200万円〉 (※写真はイメージです/PIXTA)

「自立してるからマシ」貯金ゼロの友人からのマウントも笑顔で聞き流す理由

先日、大学時代の友人と久しぶりに飲みに行った際、一人暮らしをしている同級生から、こんな言葉をぶつけられました。

 

「都心に住んでると家賃が高くてさ、最近は物価も上がって金が貯まらないよ。シュンタは、まだ実家なんだろ? 俺は貯金ないけど、一人暮らしで自立してるだけマシだよな」

 

自立という言葉を盾にした明らかなマウントでしたが、シュンタさんは反論せずに笑顔で聞き流しました。

 

「高い家賃を払うために働いて、貯金も投資もゼロ。僕から見れば、自立という言葉に縛られて生活が苦しくなっているほうがヤバい状態です。他人にどう思われようと、今の生活を変えるつもりはありません」

 

見栄や世間体は捨てて、実利を取る。シュンタさんは、実家暮らしの恩恵を誰よりも理解し、余裕の笑みを浮かべるのでした。

4世帯に1世帯が卒業済みの子と同居…データが示す「実家暮らし」の実態

シュンタさんの「実家暮らしで浮いたお金を投資に回す」という生き方は、同級生からは「自立していない」と見下されてしまいましたが、客観的なデータに照らし合わせると、現代において理にかなった資産形成戦略の一つであることがわかります。

 

まず、「社会人になっても実家暮らし」というのは、決して珍しいことではありません。生命保険文化センターの「生命保険に関する全国実態調査(令和6年)」によると、世帯主から見た同居家族のうち「子供(未婚で就学終了)」がいる割合は25.4%となっています。つまり、およそ4世帯に1世帯では、学校を卒業した未婚の子どもが親と同居しており、シュンタさんのようなライフスタイルは、ごく普通の選択肢であると推測されます。

 

さらに、シュンタさんがフル活用している「NISA」ですが、金融庁の「NISAの利用状況の推移(令和7年12月末時点・速報値)」によると、現行のNISA口座数は2,825万5,664口座に達しています。これは日本の成人人口のおよそ4人に1人以上が利用している計算になり、今やNISAは一部の投資家だけのものではなく、一般的な資産形成のインフラになりつつあることが読み取れます。

 

都心での一人暮らしは「自立」というステータスを得られる一方で、高い家賃や物価高によって毎月の家計を圧迫し、投資に回す余裕資金がなくなってしまいます。生命保険文化センターの同調査によると、35〜39歳の世帯保有金融資産額の平均は「856万円」となっています。実家暮らしで固定費を抑え、NISAで資金を投下し続けたシュンタさんの「3,200万円」という資産は、同世代の平均のおよそ4倍近い数字です。

 

「貯金ゼロの一人暮らし」と「資産3,200万円の実家暮らし」。将来、経済的な危機や親の介護といった現実的な問題に直面したとき、本当の意味で「自立」して生き抜く力を持っているのはどちらなのか考えさせられる事例といえるでしょう。

 

[参考資料]

公益財団法人 生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査(令和6年)」

金融庁「NISAの利用状況の推移(令和7年12月末時点・速報値)」