内閣府の「高齢者の経済生活に関する調査結果」によると、高齢者が今後の生活に必要だと考える金融資産額の平均は「2,648万円」となっています。老後資金の不安から、年金受給を70歳まで遅らせる「繰下げ受給」で月5万円の増額を狙ったマサヤさん(仮名・69歳)。貯蓄1,500万円と年金月13万円では心許ないと働き続けていましたが、ある日突然〈思いもよらない事態〉に直面し、計画は白紙に……。
「繰下げ受給」待機中にまさかの事態…〈年金月13万円〉〈貯金1,500万円〉の69歳男性、月5万円の増額を急遽諦めたワケ (※写真はイメージです/PIXTA)

データが示す「健康上の引退リスク」と、お金以上に大切な備え

マサヤさんが1,500万円の貯蓄がありながら老後に不安を感じ、働きながら年金の「繰下げ受給」を選んだのは、客観的なデータから見ても無理のない心理といえそうです。内閣府の「令和6年度 高齢者の経済生活に関する調査結果」によると、今後の生活のために必要だと思う金融資産額の平均は「2,648万円」となっており、マサヤさんの1,500万円という資産額は平均を下回るため、少しでも将来の収入を増やしておきたいと考えるのは自然なことでしょう。

 

しかし、実際に受給開始を遅らせて年金を増額させている人は、データから見ると少数派であることがわかります。厚生労働省の「厚生年金保険・国民年金事業の概況(令和6年)」によると、70歳時点で老齢厚生年金を繰下げ受給している割合はわずか4.2%、老齢基礎年金(基礎のみ)の場合でも5.5%にとどまっています。

 

多くの高齢者は、増額を待ち続けるリスクを避けているのかもしれません。しかし、その最大のリスクこそが、マサヤさんが直面した「病気による健康の喪失」です。

 

内閣府の同調査によれば、「今後仕事をしたい」と考えている高齢者が、実際には就業に至っていない理由のトップは、「健康上の理由」で30.8%でした。また、老後の備えとして取り組む必要があることとして、「資産形成(貯蓄・投資)など」の24.2%を大きく引き離し、「健康に関する備え(健康の維持・増進、病気やけがの治療等)」の80.7%が圧倒的な1位となっていることが読み取れます。

 

年金増額や資産形成という「お金の計算」は一見確実なように思えますが、それらはすべて「働き続けるための健康」と「受け取ったあとに楽しむための健康」があって初めて成り立つものです。年金受給額アップという目先の数字にとらわれず、「いつまで元気に動けるか」という不確実なタイムリミットも考慮して、お金と時間のバランスを取ることが、後悔のないシニアライフの鍵であることを、これらのデータは示唆しているといえそうです。

 

[参考資料]

内閣府「令和6年度 高齢者の経済生活に関する調査結果」

厚生労働省「厚生年金保険・国民年金事業の概況(令和6年)」

 

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