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隠し資産が招く税務調査のリスク
親が良かれと思って隠し通した資産は、死後、残された家族にとって厄介な火種になることがあります。相続税の申告において、意図的な隠蔽や申告漏れは税務当局の厳しい追及を免れません。
国税庁「令和6事務年度における相続税の調査等の状況」によると、実地調査件数は9,512件。非違(申告漏れなど)の割合は82.3%で、追徴税額は全体で824億円に上ります。調査1件当たりでは、申告漏れ課税価格が3,093万円、平均867万円の追徴税が課されました。
また、相続税における簡易的な接触(書面や電話による確認)については21,969件。そのうち5,796件が非違とされ、1件当たり63万円の追徴税が課されています。これらは、意図しないものを含めて「隠れた資産」がいかに多いかを物語っています。
税務署は独自のネットワークで故人の過去数年分の預金通帳や資産の流れを把握しており、天井裏に隠された現金も、引き出し履歴との整合性から容易に特定されます。相続財産のうち、現金・預貯金等は34.9%と最も多く、土地30.2%、有価証券17.8%と続きます。
そのようななか、同庁「令和6年度 査察の概要」では、社会的波及効果の高い事案として「相続財産の現金を申告から除外することで、相続税を免れていた事案」に積極的に取り組んだとしています。つまり、現金(タンス預金)で相続税を逃れようとする動きは多く、当局が最も注視している項目のひとつといえます。
仮に悪質と判断されれば、本来の税額に最大40%が加算される「重加算税」という重いペナルティが課される可能性もあります。
防犯意識が高まる現代において、タンス預金や独自の隠し場所を作る高齢者の心理は理解できなくもありません。しかし、その行為が相続手続きを数倍に複雑化させ、結果として子どもたちの手元に残る金額を減らしてしまうこともあります。資産の透明化こそが、納得のいく遺産相続の形といえるでしょう。